日本台湾交流協会は、外交関係のない台湾との間の実務関係を処理するため窓口機関です。
台湾の人々の対日観を調査するため、2009年から「台湾における対日世論調査」を発表し、4月15日に8回目となる2024年度の調査結果を発表しました。
質問は「台湾を除き、あなたの最も好きな国(地域)はどこですか」や「今後台湾が最も親しくすべき国(地域)はどこですか」「台湾に最も影響を与えている国(地域)はどこですか」など23問からなり、ほぼ定点観測ともいえる世論調査です。
第1回調査から「結論」を置き、台湾の人々の対日観を分析しています。
サンプル数は1,520件で、男女は半々、年齢も20代、30代、40代、50〜64、65〜80とほぼ均等です。
ただ、地域は北部702人、中部378人、南部403人、東部37人と、東部が極端に少ないのが気になったくらいで、調査として信頼できる構成になっているようです。
第8回目の今回は問1の「台湾を除き、あなたの最も好きな国(地域)はどこですか」が76%にも及び、前回(2021年度)の60%をはるかに上回る結果となっています。
日本人としては、とても嬉しくなる結果です。
第1回こそ問1は「あなたの最も好きな国(地域)はどこですか」と、台湾を含む質問だったためアジアが44%で日本は38%でしたが、第2回(2010年度)からは「台湾を除き」と訂正したことにより日本は52%になっています。
これまでの8回の問1だけの調査結果は下記の通りで、いかに2024年度の調査結果が群を抜いて高いかが分かります。
第1回(2009年度):38%第2回(2010年度):52%第3回(2011年度):41%第4回(2012年度):43%第5回(2015年度):56%第6回(2018年度):59%第7回(2021年度):60%第8回(2024年度):76%
ちなみに、日本に続き、韓国は4%、中国は3%、アメリカも3%で、台湾の人々がいかに日本を好きかがはっきりと表れています。
また、国別の質問は問1、問2、問3の3問で、その結果は下記のようになっています(「結論」は世論調査に掲載されたもの)。
問4以降は「日本に親しみを感じますか」「日本のどの分野に関心がありますか」など、日本に絞った質問となっています。
問2:今後台湾が最も親しくすべき国(地域)はどこですか(一つのみ)日本:70% アメリカ:13% 中国:11% 韓国:1%
【結論】アメリカと回答した比率は20-29歳で最も高く(16%)、中国と回答した比率は65-80歳で最も高かった(16%)
問3:台湾に最も影響を与えている国(地域)はどこですか(一つのみ)。
アメリカ:48% 日本:30% 中国:19% 韓国:1%
【結論】年齢別に見ると、各年齢層でアメリカと回答した比率はほぼ40%以上に達しているが、30-39歳では日本が台湾に最も影響を与えている国(41%)として認識されており、アメリカ(38%)をわずかに上回った。
中国と回答した比率は各年齢層で約19%前後となった。
世論調査の分析は難しいのですが、総じて言えば、台湾の現状を的確に反映した結果が表れているようです。
予断を恐れずに言えば、日本、アメリカ、台湾という関係を重視し、そのトライアングル化も期待しているのではないかという台湾の人々の視点も浮かび上がってきているように思います。
政治大学選挙研究センターのアイデンティティ調査では、自分を中国人と思う人は、調査開始の1992年には25.5%、つまり4人に1人が中国人と思っていたのですが、2024年12月に発表した最新の調査では10分の1以下の2.4%です。
とは言え、「今後台湾が最も親しくすべき国(地域)」として、50歳〜64歳は15%(2021年度は26%)、65歳〜80歳は16%(2021年度は17%)が中国を挙げていて、台湾社会の中心部で働く年代の中国への期待度はけっして低くないという結果なのです。
もちろん、50歳〜64歳も65歳〜80歳も「日本と最も親しくすべき」はともに65%と高いのですが、この年代の中国認識に台湾が抱えている問題も反映されているようです。
。
※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。