国交のない日本と台湾の間では、租税条約に相当する「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための公益財団法人交流協会と亜東関係協会との間の取決め」(2015年11月26日)や、地域内の各国において空港の発着枠、航空路線、便数などを決められる「オープンスカイ協定」(2011年11月10日)などが結ばれている。
姉妹都市などの都市間提携や鉄道提携、姉妹校提携などさまざまな提携関係が網の目のように張りめぐらされている。
教育も例外ではない。
1月17日、大分県教育委員会と台北市教育局が「教育覚書(MOU)」を締結した。相互訪問、オンライン交流、遊学などを通して、双方の生徒たちの異文化理解を深め、スポーツや言語等多方面で学習交流を促進することを目的としているという。大分県教育委員会の岡本天津男教育長と台北市教育局の湯志民局長とが調印に臨んだ。
これまでも、広島県教育委員会と桃園県教育局が2014年5月22日に「教育協定」を結んだことを嚆矢に、徳島県教育委員会と新竹市教育処の「教育交流協定」などが結ばれている。今回の大分県教育委員会と台北市教育局の「教育覚書(MOU)」は、2021年8月31日の青森県教育委員会と台北市教育局の「教育交流協力に関する了解覚書」に続くもので、本会調査によれば7件目となる。
教育提携は、国際理解教育を推進するのはもちろんのことで、姉妹校提携による学校間の定期的な交流や台湾への修学旅行、研修旅行及び留学の増加を促している。地方空港の抱える搭乗率の低さを押し上げるのが台湾への修学旅行や研修旅行だ。
大分県では大分空港の国際線利用拡大に向け、台湾からの航空便の誘致に取り組んでいるそうで、昨年12月、本年2月に大分空港と台湾桃園国際空港を結ぶチャーター便の運航が決まったという。今回の「教育覚書」の締結により大分県内の台湾への修学旅行が促進され、チャーター便から定期便への運航になることを期待したい。
下記に、これまで日台で教育提携した7件を紹介するとともに、「Taiwan Today」の記事を紹介したい。
◆日本と台湾の教育提携 1)2014年05月22日、広島県教育委員会と桃園県教育局が「教育協定」を締結。 2)2015年09月07日、徳島県教育委員会と新竹市教育処が「教育交流協定」を締結。 3)2016年12月19日、東京都教育委員会と台北市教育局が「教育交流に関する覚書」を締結。 4)2016年12月20日、東京都教育委員会と高雄市教育局が「教育交流に関する覚書」を締結。 5)2018年09月13日、長野県教育委員会と高雄市教育局が「教育交流協力に関する覚書」を締結。 6)2021年08月31日、青森県教育委員会と台北市教育局が「教育交流協力に関する了解覚書」を締結。 7)2024年01月17日、大分県教育委員会と台北市教育局が「教育覚書(MOU)」を締結。
—————————————————————————————–台北市教育局と大分県教育委員会がMOU締結【Taiwan Today:2024年1月18日】
国際理解教育に熱心に取り組む台北市教育局は17日、日本の大分県教育委員会と「教育覚書(MOU)」を締結した。台北市教育局の湯志民局長と大分県教育委員会の岡本天津男教育長が調印に臨んだ。
台北市と大分県の間では、すでに学校間交流が活発に進んでいる。例えば台北市の復興高中(=高中)、松山高中、永春高中は2017年より大分県内の学校と交流を行っている。力行国小(=小学校)は2023年5月、国際理解教育の一環として、大分県佐伯市の直川小学校を訪れて交流を行った。
台北市教育局は同年12月、今回のMOU締結を念頭に、台北市内の教員を連れて大分県を訪問し、地元の企業を視察したり学校を参観している。このほか、成淵高中の生徒たちが今年1月下旬、大分県を訪問し、大分舞鶴高校の生徒たちと交流を行うことになっている。
今回のMOU締結により、双方は引き続き良好な協力関係を築く。また、相互訪問、オンライン交流、遊学などを通して、双方の生徒たちの異文化理解を深め、スポーツや言語等多方面で学習交流を促進し、ひては台湾と日本の教職員や生徒たちに、相手の文化を体験できる機会をより与えたい考え。(台北市)
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