領土領海をでっち上げる中国による「日本の領海侵略」 黄 文雄(文明史家)

【黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」:2023年9月20日号】 https://www.mag2.com/m/0001617134*読みやすさを考慮し、小見出しは本誌編集部が付けたことをお断りします。

◆中国が尖閣諸島近くの日本のEEZ内に海洋調査ブイ

 中国が尖閣諸島近くの日本のEEZ内に海洋調査ブイを勝手に設置していたのが見つかりました。報道にもありますが、2016年と2018年にも同じような場所で同じようなことがありました。その時は、固定が甘かったのか固定していなかったのか、ブイが漂流してしまい、日本側がそれを回収し、詳しく調べた後に、中国側に引き渡したということがありました。

 今回のブイは、報道によると、「『中国海洋観測浮標QF212』と書かれていた。海底に重りを下ろして固定しているとみられる」とのことです。

 もちろん日本政府は中国側に抗議して、ブイの即時撤去を求めています。さらに松野官房長官は、「EEZでわが国の同意なく構築物を設置することは国連海洋法条約上の関連規定に反する』と批判しました。

 海上保安庁によると、このブイは今年7月に設置されたらしく、いまだに撤去されていないとのこと。松野官房長官は、「領土、領海、領空を断固として守り抜くとの考えのもと、毅然(きぜん)かつ冷静に対処していく」と言っていますが、全く効果がないことは歴史が証明しています。

 中国は確信犯的に領土領海拡大を目論み、いつの間にか「中国の核心的利益」として、自国の領海だと主張し始めるというのが、常套手段だからです。

 ときには「歴史書にそう書いてある」と、まったく関係ない記述を強引に「領土領海の証拠」とでっち上げることも少なくありません。まさしく尖閣諸島はそうしたでっち上げで、いつのまにか中国が「核心的利益」にしてしまったのです。

◆玉城知事は本土との分断工作を進めるつもりなのか

 このブイが問題になっている同じ時期に沖縄の玉城知事が、スイスのジュネーブで開かれている国際人権理事会で日本政府を批判するスピーチをしました。その内容について、以下、報道を一部引用します。

<演説で玉城氏は米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画に関し、「県民投票という民主主義の手続きにより反対という民意が示されたにもかかわらず、日本政府は新基地建設を強行している」と主張した。移転計画を巡り、最高裁が今月4日の判決で、移設を進める国の主張を全面的に認めたことへの対応については「検討中」と述べるにとどめた。>

 玉城知事については、媚中的な行動がよく報道され、前回の訪中の際も中国にすりよる姿勢は実に不愉快でした。このスピーチについて、産経新聞に登場したジャーナリストの我那覇真子氏は、「玉城知事は沖縄の分断工作に加担している」と主張しています。その内容について、以下、報道を一部引用します。

<玉城デニー知事は今回、沖縄県民を『先住民族』だと訴えるNGOの発言枠を使って演説をした。公的立場でありながら、沖縄と本土の分断を図るプロパガンダに加担する行為といえる。 ただ、翁長雄志前知事は「先住民族」と親和性の高い「自己決定権(self─determination)」という言葉を演説に盛り込んだが、玉城氏は使わなかった。「先住民族」論が県民に全く浸透せず、逆に抗議活動が勢いを得たからだろう。沖縄をめぐる問題で最も注目すべきは、実は基地反対か容認かではない。「分断して統治せよ」という言葉があるが、本土との分断工作が進んでいることに警戒すべきだ。その背後に中国がいることも、忘れてはならない。>

 全く同感ですね。

 尖閣諸島でのブイ設置と玉城知事の言動が、中国による一連の計画に思えてしかたありません。

 このメルマガでもご紹介しましたが、中国はアジア地域の境界線を勝手に操作し、勝手に自国の領土や領海だと主張しています。標的となった被害国は、もちろん猛反発しており、中国の言いなりにはならないと主張しています。

 日本は、それ以前から狙われており、沖縄が中国に狙われている説はかなり前からありました。そして、上記の我那覇氏が言うように「分断して統治せよ」という計画のもと、あらゆる手段を使って日本本土と沖縄の分断を進める一方で、沖縄を頂く準備を着々と進めているのではないでしょうか。

 日本政府がうかうかしている間に沖縄を取られてしまうというシナリオが、現実味を帯びて迫ってきています。

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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