【内国民待遇】日台投資協定を締結

【FTA、EPAへ道筋】日台投資協定を締結

日本李登輝友の会メールマガジンより転載

 本誌ではこれまで、日本と台湾の「投資協定」締結の重要性に鑑み、8月13日付の産経新
聞1面トップ記事を紹介し、(財)交流協会の大橋光夫会長が就任後初めて訪台するのに合
わせて署名式を行うことを伝える朝日新聞の9月20日付の報道も紹介してきた。

 9月22日、台北市内のホテルで、財団法人交流協会会長の大橋光夫氏は外交部亜東関係協
会会長の彭栄次氏と「日台投資協定」(亜東関係協会と財団法人交流協会の投資の自由化
と促進、保護に関する取り決め)に調印し、即日発行した。

 台湾の経済ビジネス情報紙「NNA」は「1972年の日台断交以来、最も画期的な出来事」
と伝え、また「台湾側からは将来的な自由貿易協定(FTA)、経済連携協定(EPA)
の締結にも道を開くとの期待感も出ている」と伝える。下記に紹介したい。

 ただ、この協定締結を伝える中に「日本との投資協定調印は大きな成果。来年1月の総
統選へ向け、ポイントを挙げた形となる」(共同通信)との報道も見受けられるが、果た
してそうだろうか。

 確かに馬英九政権の実績とはなるものの、これは台湾の日本企業でつくる台北市日本工
商会が早期締結を求めていたことや、馬英九政権下で「両岸投資保障協定」の交渉がなか
なか進まないという背景、さらに日本と中国の自由貿易協定の交渉が難航していることも
あり、政権がどうあれ、日本の国益と台湾の国益に合致したことで締結に至ったものだ。
民進党政権下ならもっと早く締結できていたかもしれず、馬英九政権のポイントではない
だろう。

 すでに本誌で述べたように、これで日台の距離はまた一歩縮まり、日台間でFTA(自
由貿易協定)を締結する日も指呼の間になった感がある。10月3日に来日する蔡英文・民進
党主席の発言も注目される。

 なお、本誌でも紹介した、調印が実現すれば日台路線の増便や航空料金の値下げにつな
がる「オープンスカイ(航空自由化)協定」も同時に締結される予定だったが、最終的な
合意に至らず見送られたのは残念だった。

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日台が投資協定に調印:FTA、EPAへ道筋
【NNAニュース:2011年9月23日】
http://news.nna.jp/free/news/20110923twd002A.html

 交流協会と亜東関係協会は22日、実質的な二国間投資協定に当たる「日台民間投資取り
決め」に調印した。同取り決めは即日発効した。1972年の日台断交以来、最も画期的な出
来事となる。投資の保護や促進、自由化を含む包括的な内容を明確に規定し、透明性を高
めることで企業投資を促すのが狙い。台湾側からは将来的な自由貿易協定(FTA)、経
済連携協定(EPA)の締結にも道を開くとの期待感も出ている。【田村まどか】

 台北市内で開かれた調印式には、今年6月の就任以来、初めて台湾入りした交流協会の大
橋光夫会長と亜東関係協会の彭栄次会長が出席。大橋会長は「日本と台湾が新しい時代に
入るきっかけとなり、各方面での経済交流が促進される」と期待感を示した。

 同取り決めは日台の民間窓口機関である両協会が昨年3月から交渉を進めてきた。互いに
企業の投資を促すもので、民間企業の投資保護や促進、自由化をカバーした包括的な内容。
投資活動や投資財産の保護に際しては、「内国民待遇」や「最恵国待遇」に相当する無差
別待遇が受けられる。これにより台湾に進出した日本企業は外資としての規制を受けず、
地元企業と同じ扱いになる。台湾企業が日本に進出する場合も同様の優遇を受けられる。

 また投資に関する問題が生じた場合には、国際的な仲裁機関を利用して解決を図ること
が可能。経済産業省関係者は「明文化することで透明性を確保し、投資企業に安心感を与
えられる」とその意義を説明した。

■台湾に特別な意味合い

 22日付蘋果日報などによると、今回の取り決めは経済部の施顔祥部長が「進歩的で包括
的」と評価するなど、台湾にとって特別な意味合いがある。台湾はこれまで計34カ国・地
域と投資協定を結んできたが、FTAを締結している中南米の5カ国を除いては、いずれも
投資の保護と促進しか含まれていない。今回は自由化が加えられた包括的な取り決めとな
っており、FTA締結に向けた第一歩と受け止められている。

 馬英九政権にとっては、昨年6月に中台間の経済協力枠組協議(ECFA)を結んで以来
の実績。台湾側は将来的に日本とEPA、FTAを結びたい意向だが、外務省関係者は「非
政府間の実務関係の中で、どう連携できるか検討する」と述べるにとどめた。台湾にとっ
て日本は最大の輸入国であり、件数ベースでは最大の投資国。一方、日本にとって台湾は
第4の貿易パートナーとなっており、今回の取り決め発効により、双方の一層の経済関係緊
密化が期待されている。

 日本はこれまでに17カ国・地域と投資協定を結んでおり、このうち今年調印したパプア
ニューギニアとコロンビア以外はすでに発効済み。


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