台湾からのノービザ渡航を小泉首相が指示

李登輝前総統の来日や外国人登録証へも波及か

 昨日午前に開かれた閣僚懇談会で、小泉首相は、石原伸晃国交相からの強い要
望を受け入れ、来年3月に開かれる愛知万博への外国人観光客数を増やす一環と
して、台湾からの観光客のビザ免除を検討するよう関係閣僚に指示したそうです。
 台湾から日本への渡航は、去る9月1日より、台湾からの修学旅行生の入国ビザ(
査証)の取得手続きを大幅に緩和し、30日を越えない範囲において、査証申請書の
提出と査証手数料が免除されるようになっています。
 これまで台湾の台北駐日経済文化代表処(大使館に相当)は、日本に台湾人の
入国に伴うノービザ適用を働きかけてきており、この修学旅行に対する措置につ
いて「今回の措置は歓迎されるものの、ビザ免除には至っていない。日本におけ
る台湾人の犯罪率が他国の渡航者より遥かに低い事実などを十分勘案し、日本政
府が一日も早く一般の台湾旅行者にノービザを適用するよう求める」との声明を
8月31日に発表しています。
 台湾からのノービザ入国は愛知万博への観光客誘致が目的ですが、「免除を通
告できる相手を『国』と規定した出入国管理法の改正が必要になるほか、中国へ
の外交上の配慮もあって外務、法務両省との調整が進んでいなかった」(毎日新
聞)という背景があるそうですが、首相の指示で実現に向かうようです。
 全面的なビザ免除なのか、万博期間のみなのか、報道からはよく分かりません
が、ともかく一歩前進です。
 そうなりますと、李登輝前総統も何の気兼ねなく、自由に来日していただける
ことになりますので、全面的なノービザ実現となるよう強く期待します。また、
この台湾見直しの流れが外国人登録証の改正に結実することを強く願っています。
 以下に、その報道の一部をご紹介します。          (編集部)


台湾人のビザ免除検討を 首相、万博控え指示
(共同通信 9月24日)

 小泉純一郎首相は24日午前の閣僚懇談会で、2005年日本国際博覧会(愛
知万博)への外国人観光客数を増やす一環として、台湾からの観光客の査証(ビ
ザ)免除を検討するよう関係閣僚に指示した。
 石原伸晃国交相が台湾からの観光客のビザ免除について「愛知万博を控えてお
り、免除すべきではないか」と指摘し、中川昭一経産相、麻生太郎総務相が賛同
した。
 外遊中の川口順子外相の代理を務める細田博之官房長官は「中国との関係を十
分配慮しながら、善処しなければならない」との外務省作成のメモを読み上げた
が、首相は「台湾について(ビザなしでの渡航が)できることを考えて進めたら
どうか」と述べた。


<小泉首相>台湾観光客のビザ免除検討を指示 愛知万博向け
(毎日新聞 9月25日)

 小泉純一郎首相は24日、来年の愛知万博に合わせて台湾からの観光客のビザ
免除を検討するよう関係閣僚に指示した。査証免除は国土交通省が強く主張して
いるが、免除を通告できる相手を「国」と規定した出入国管理法の改正が必要に
なるほか、中国への外交上の配慮もあって外務、法務両省との調整が進んでいな
かった。


愛知万博、ビザ免除対象国の拡大検討を首相指示
(読売新聞 9月25日)

 小泉首相は24日の閣僚懇談会で、来年3−9月に愛知県で開かれる「愛・地
球博」(愛知万博)期間中の海外からの旅行者に関し、査証(ビザ)免除の対象
国拡大などの検討を指示した。
 石原国土交通相らの「多くの方に来てもらうため、観光客の多い台湾のビザ免
除を進めてほしい」との要望を受けた措置だ。
 日本は現在、58の国と地域にビザを恒久的に免除している。今月からは、中
国の小中高生の修学旅行にも対象を広げ、台湾にはビザ発給手数料を免除した。
愛知万博期間中の韓国に対するビザ免除も決めている。