台湾の声、読者の皆さまへ
皆さま、いかがお過ごしでしょうか。片倉佳史です。林建良編集長にお声をかけていただき、拙著のご紹介をさせていただくことになりました。
このたび、私は祥伝社から『台湾に生きている日本』という一冊を出させていただきました。本書では日本統治時代の遺構や歴史遺産、建築物などを取り上げ、台湾の人々と日本人がいかに関わってきたか、そして、そういったものが現在の台湾にどのような形でとけ込んでいるかを探っています。
また、台湾の言葉になった日本語、日本語起源の語彙も紹介してみました。これは私が台湾と接点をもって以来、ことあるごとにメモしてきた語彙を再取材したものです。この取材を始めてちょうど10年になったのを契機に200あまりの語彙を紹介してみました。台湾語や客家語のほか、原住民族諸語に入り込んだ日本語も紹介しています。
おかげさまで、本書は刊行から一週間で3000部の増刷が決まりました。Amazonなどでは入荷待ちの状態が続いていましたが、今週から発送が再開されるようです。これを機に、より多くの方に手にとってもらえることを祈りたいと思います。
なお、本書は新書サイズではありますが、300ページと少々分厚い一冊になっています。定価は900円。全国の書店でご覧になれます。ご興味を感じていただけると幸いです。
以上、自著の宣伝になってしまい、たいへん恐縮ではあるのですが、本書が皆さんの「台湾体験」のパートナーになってくれることを願ってやみません。どうぞよろしくお願いいたします。
片倉佳史
『台湾に生きている日本』(祥伝社新書)目次
巻頭カラー
保存されていた明治・大正の日本
全島に残る日本の面影
今も生き続ける「日本」
麗しの島の美しき遺産
発展する台湾、日本との絆
第一部 台湾に生きている「日本」を歩く
台湾総督府―台湾に君臨する最高統治機関
台湾総督府博物館―総督府の自慢だった建造物
台湾総督官邸―開かれた官邸の扉
建成尋常小学校―芸術空間へと変わった小学校
台北高等商業学校―忘れ去られた卒業記念碑
ホトク1型特別客車―昭和天皇が乗った紋章入りの客車
台北州立公共浴場―アジア最大と謳われた公共温泉浴場
瀧乃湯―皇太子御渡渉記念碑が残る銭湯
畜魂碑―家畜の霊を祀る石碑を訪ねる
大渓武徳殿―「国民精神」を修養した舞台
宜蘭北飛行場―特攻隊が飛び立った飛行場
十六▲駅―木造の廃駅舎と後藤新平のプレート
和美公学校校内神社―児童を見守る小さな狛犬
琴山河合博士旌功碑―阿里山開発の父と呼ばれた日本人
台南駅―昭和時代初期のターミナル建築
下淡水渓橋梁―東洋一の大鉄橋と技師の記念碑
旗山駅―街のシンボルとして君臨する廃駅舎
竹子門水力発電所―産業遺産として守られる発電所
高砂族教育発祥之地碑―台湾南部にあった教育の聖地
ハラパワン祠―草むらに眠る神社の土台
旭村遙拝所―小さな移民村に残る石灯籠
第二部 台湾人と日本人―日本統治時代の絆と訪ねて
菁桐駅―炭坑の町と日本人医師の話
義愛公―廟に祀られた日本人巡査
共栄診療所―山郷の診療所を訪ねる
歌声となって残る小さな物語―愛国乙女サヨン遭難之地碑
白団―旧敵国軍隊を育成した日本人将校団
第三部 台湾の言葉となった日本語
付録 訪ねてみたい歴史建築と遺構百選