【真相】日本と台湾の分断を狙った極めて悪質なニュース

【真相】日本と台湾の分断を狙った極めて悪質なニュース

日本李登輝友の会メールマガジン「日台共栄」より転載

台湾からの留学生にはきちんと奨学金(震災補助金)が支給されていた!
  

 昨日、インターネットで「日本に留学している台湾人学生が、日本政府が外国人留学生
に対して支給している東日本大震災の補助金を受け取ろうとしたところ、学校側から拒否
されていたことがわかった。3人の学生が説明を求めると、学校側は『台湾は国家ではない
ため、台湾からの留学生は補助金を受け取る資格がない』と回答した」というニュースが
流れ、本会会員や本誌読者からの問い合わせが相次いだ。

 このニュースを目にしたとき、まず学校側が回答したという内容に不自然さを感じた。
というのは、学校、つまり大学が台湾からの留学生を受け入れているのにもかかわらず、
「台湾は国家ではない」ことが補助金を支給しない理由として挙げられていたからだ。留
学生を受け入れているなら、そのようなことが果たして理由になるのだろうかと疑問を覚
えた。

 そこで、このニュースでは、台湾人留学生に対する「補助金」なるものは(財)交流協会
から支給されているということなので、交流協会に問い合わせてみた。

 すると、以下のようなことが判明した。

 交流協会は東日本大震災発生後、台湾からの留学生が在籍する被災地の大学に対して、
提出締切を3月31日とする「平成22年度 交流協会奨学金留学生(研究留学生)募集要項
(緊急援助採用)」を出していた。

 これによると、対象となる台湾からの留学生は、この募集要項の締切の時点で、東京都
を除く東日本大震災による災害救助法適用地域にある大学に在籍し、かつ4月1日現在にお
いて大学院に進学するなどで在学する、「学業成績が優秀な者であって、東北地方太平洋
沖地震の発生により生活に困窮している者」となっている。「1975年4月2日以降に出生し
た者」「心身ともに大学における学業に支障がないこと」も募集条件となっている。

また、「申請時に日本国籍を有する者」や、申請時点で「交流協会奨学金留学生である
者」「標準修業年限内での修了が不可能である者」などは募集対象とならないとある。

このような条件を満たす台湾からの留学生に対して、交流協会奨学金の額面(大学院博士
課程なら15万5千円)に相当する「奨学金」を1ヵ月分だけ支給し、私費留学生学習奨励費
が支給されている留学生には、その奨学金を差し引いた額を支給するというのである。

 つまり、奨学金と謳っているのは、文字通り被災したまじめな留学生の学業を奨励する
ためだ。その意味では「補助金」だが、一回だけだから「一時金」であり、日本政府から
の地震見舞いと言っていいだろう。

 また、ニュースだと、台湾からの留学生なら誰でも受け取られるようなニュアンスが感
じられるが、以上のように、台湾からの留学生でも条件を満たさなければ支給されるわけ
ではない。募集要項では、提出書類は大学側が作成し、留学生の推薦にあたっては「応募
者を厳選し」、成績証明書などの書類も同封するよう求めてもいる。

 ところで、ニュースでは「栃木県宇都宮市の学校に通う」という女子留学生がフェイス
ブックに書いたコメントも紹介されていたので、栃木県内で台湾からの留学生が多い宇都
宮大学にも確認してみた。

 宇都宮大学には現在、台湾から13人が留学し、うち8人が女性だ。窓口となった留学生・
国際交流課によれば、交流協会からの奨学金支給の対象となったのは大学院博士課程に在
籍する学生1人だったそうだ。もちろん、支給したのは1人であるから、ニュースのような
3人の学生に説明を求められたこともないという。

 以上のようなことから、大学が奨学金の支給対象となる学生を「厳選」し、交流協会に
提出する書類も作成しているのであるから、ニュースのような「補助金を受け取ろうとし
たところ、学校側から拒否され」るという事態は、まず考えられない。また、交流協会の
選考結果は大学に伝えられ、応募した個人には伝えられない。交流協会は個別の問い合わ
せにも応じていないのだ。さらに、奨学金の支給も大学が行っているのである。

 結論として、このニュースの信憑性は限りなくゼロに近い。ガセネタと言っていいだろう。

 では、なぜこのようなニュースが出てきたのか。200億円近い世界一の義捐金額を集めて
いる台湾からの留学生に対して、日本の大学はなんとひどい仕打ちをするのだと、日本非
難の声が台湾から起こることを狙ったのではないか。

 事実、台湾のTV局のTVBSや新聞の「自由時報」もこの件をニュースにしたようだ
し、本会会員や読者から「ひどい大学だ。大学名が分かるようなら教えて欲しい」「私は
腹が立って 悲しくてたまりません。台湾の方々が巨額な義援金をしていただいたの
に……」という声が届いている。

 つまり、このニュースは、日本と台湾が対立することを狙って流されたという疑いを捨
てられないのだ。要するに、日台の分断を狙った極めて悪質なニュースと言っていいだろう。

 交流協会台北事務所は昨日、この件に関して、「7月4日付『TVBS新聞台』及び5日
付『自由時報』の台湾留学生に対する奨学金に関する報道について」を発表し、「所属大
学からの推薦を受け、東北大学、筑波大学、宇都宮大学等に在籍中の台湾留学生(大学院
生)25名に対し、1ヶ月分の奨学金を給付し」たことを明らかにしている。いささか長いが、
下記に紹介したい。

—————————————————————————————–
7月4日付「TVBS新聞台」及び5日付「自由時報」の台湾留学生に対する奨学金に関す
る報道について

【交流協会台北事務所:2011年 7月 6日「お知らせ」】

http://www.koryu.or.jp/taipei/ez3_contents.nsf/Top/B3ED6FAA52C226AB492578C500393D4C?OpenDocument

 7月4日付「TVBS新聞台」及び5日付「自由時報」では、東日本大震災を受け文部科
学省が実施した東北地方太平洋沖地震にかかる災害救助法適用地域(東京都を除く)に所在
する大学に在籍している外国人留学生への奨学金給付(平成23年3月1ヶ月分)について、
台湾の留学生がその対象に含まれていたか否かにつき疑義があるかのような記事が掲載さ
れました。

 当協会は、文部科学省からの補助金により、毎年台湾の留学生(大学院生)に対し奨学
金を給付しております。今般の震災に対する措置においても、文部科学省が他国の留学生
に対して行った措置と同様の措置を台湾の留学生に対して行いました。具体的には、所属
大学(東北地方太平洋沖地震にかかる災害救助法適用地域(東京都を除く)に所在する大学)
からの推薦を受け、東北大学、筑波大学、宇都宮大学等に在籍中の台湾留学生(大学院生)
25名に対し、1ヶ月分の奨学金を給付しました。

 これらの事実を正しく認識していただくため、TVBS新聞台及び自由時報に対し以下
の書簡を送付しました。

*****************************************

TVBS新聞台
総監 ?怡宜様

 平素より日本に関する報道を多く取り扱っていただき、大変ありがとうございます。

 本日は、東日本大震災被災地の大学に在籍する台湾人留学生への奨学金(緊急援助採用)
について事実を正しく認識していただくために、本書簡を送付いたします。

 7月4日付け貴番組では、東日本大震災を受け文部科学省が実施した東北地方太平洋沖地
震にかかる災害救助法適用地域(東京都を除く)に所在する大学に在籍する外国人留学生へ
の奨学金給付(2011年3月1ヶ月分)について、台湾の留学生がその対象に含まれていたか
否かにつき疑義があるかのような報道がなされました。

 当協会は、文部科学省からの補助金により、毎年台湾の留学生(大学院生)に対し奨学
金を給付しております。今般の東日本大震災に対する措置においても、文部科学省が他国
の留学生に対して行った措置と同様の措置を台湾の留学生に対して行いました。具体的に
は、所属大学(東日本大地震にかかる災害救助法適用地域(東京都を除く)に所在する大学)
からの推薦を受け、東北大学、筑波大学、宇都宮大学等に在籍する台湾人留学生(大学院生)
25名に対し、2011年3月1ヶ月分の奨学金を支給しました。

 日本交流協会は、台湾において報道の自由が保たれ、傑出した報道がなされていること
を高く評価しております。台湾人視聴者に対して誤った情報や誤った印象を伝えることの
ないよう、正確な事実確認に基づく報道を強く要望します。

 2011年7月6日

                             日本交流協会台北事務所
                               総務部長 堤 尚広

*****************************************

自由時報
編集局長 陳進榮様

 平素より日本に関する報道を多く取り扱っていただき、大変ありがとうございます。

 本日は、東日本大震災被災地の大学に在籍する台湾人留学生への奨学金(緊急援助採用)
について事実を正しく認識していただくために、本書簡を送付いたします。

 7月5日付け貴紙では、東日本大震災を受け文部科学省が実施した東北地方太平洋沖地震
にかかる災害救助法適用地域(東京都を除く)に所在する大学に在籍する外国人留学生への
奨学金給付(2011年3月1ヶ月分)について、台湾の留学生がその対象に含まれていたか否
かにつき疑義があるかのような記事が掲載されました。

 当協会は、文部科学省からの補助金により、毎年台湾の留学生(大学院生)に対し奨学
金を給付しております。今般の東日本大震災に対する措置においても、文部科学省が他国
の留学生に対して行った措置と同様の措置を台湾の留学生に対して行いました。具体的に
は、所属大学(東北地方太平洋沖地震にかかる災害救助法適用地域(東京都を除く)に所在
する大学)からの推薦を受け、東北大学、筑波大学、宇都宮大学等に在籍する台湾人留学
生(大学院生)25名に対し、2011年3月1ヶ月分の奨学金を支給しました。

 これは、貴記事にも、台湾外交部スポークスマンの発言として記載されているとおりです。

 日本交流協会は、台湾において報道の自由が保たれ、傑出した報道がなされていること
を高く評価しております。台湾人読者に対して誤った情報や誤った印象を伝えることのな
いよう、正確な事実確認に基づく報道を強く要望します。

 2011年7月6日

                             日本交流協会台北事務所
                               総務部長 堤 尚広