「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より転載
台湾政界も「政変」。王金平国会議長に馬総統が辞職を要求
王議長は「仮処分」申請で対応。行政訴訟法298条を根拠に
前代未聞の大混乱に台湾政界が陥没している。
なにしろ支持率11%しかない馬英九総統、議論をすりかえる為だろうが、王金平国会議長を引きずり下ろすという挙にでた。これを「減王計画」というそうな。
王金平は台湾政界有数の実力者にして、本省人政治家。マフィアとの繋がりを指摘する向きも多いが、国民的な人気が高く、ファンも多い。李登輝元総統との関係も良い。
具体的には9月10日、馬英九総統が「王金平議長の辞任を要求」したことに端を発し、その理由を「不当な司法介入」とした。国民党は、この動きを受けて、9月11日に王金平の党籍抹消処分をはやばやと決めた。
マレーシアから急遽帰国した王議長は司法介入の疑惑を否定し、むしろ捜査当局の電話盗聴を問題視した。また「仮処分」申請で対応することにして、行政訴訟法298条を根拠に「暫時権利保護」の仮処分を求めている。
ところが香港紙『明報』(9月13日付け)によれば、台湾国民党のなかの「新四大家族」が結集し、逆に馬下ろしに動き出しているという。
台湾の「新四大家族」とは連戦・国民党名誉主席(元副総統)、呉伯雄・国民党名誉主席、赫龍斌・台北市長(閣僚級)、朱文倫(新北市長、閣僚級)の四大有力派閥の領袖たちである。
新四大家族は「26連隊」という暗号名の作戦を準備中で、同明報にしたがうと「2014年末の五大市長選(台北、新北、台中、台南、高雄)で国民党が敗北するとして、その責任を馬に取らせ、任期半ばで総統から引きずりおろす」作戦だという。関係者はいずれも、この明報の報道を否定している。
一方、当事者の王金平は記者団に対して「辞職しない。党を離れない。新党を組織しない。馬下ろしには加わらない」という四つのNOを打ち上げた。
一般世論の反応は、むしろ王金平に同情的で、国民党員でありながらも本省人の王が、国会(立法院)でしばしば国民党提案の法律を成立させないため、馬が苛立ち、邪魔者を排除しようとする権力闘争が本質であり、馬英九の陰険な遣り方、その政治的な動きを支持できないとする意見が強いという。
(註 文中の赫龍武の赫は右の「赤」がおおざと