【宮崎正弘の国際ニュース】鴻海は「台湾の」経営者だが「中国の」企業である
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」より転載
台湾企業「鴻海」のシャープ買収は3888億円
67%株主に、ようやく「中国」が送金を許可した
奇妙な話である。
「台湾」の鴻海精密工業が、日本のシャープを買収するという決定は2月のことである。それから半年、契約は成立しなかった。ひとえに「中国」の当局が独禁法抵触のおそれありと審査しており、送金を止めていたからである。
8月11日、中国当局はようやく鴻海のシャープ買収を認めて、送金を許可した。買収額は3888億円。これで同社はシャープの67%株主となる。
結局、鴻海は「台湾の」経営者だが「中国の」企業であることが歴然としてきたわけで、日本のメディアが報じていたように台湾企業の日本企業買収というM&Aではなく、性格が異なることが分かった。
米国では中国が薦めたハイテク企業の買収をすべて認めていない。国家安全保障上、由々しき問題、すなわち技術の移転が行われるからである。
日本のは、このようなハイテク企業の買収を手をこまねいてみていて良いのだろうか。