【寄稿】日本は尖閣問題について早急に台湾と對話すべし(四)

【寄稿】日本は尖閣問題について早急に台湾と對話すべし(四)    

       柳原 憲一(医師・平埔族文化研究家)

二、戦後処理と尖閣諸島

 ご存じのように、第二次世界大戦後、日本の領土に関する処理はサンフランシスコ講和条約に基づいて行われたと認識されている。つまり、琉球諸島を含む北緯二十九度以南の南西諸島などの島々を「合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこと」(サンフランシスコ講和条約第三条)である。

これに対して、中華人民共和国は(1)中国はサンフランシスコ講和会議に参加せず、「サンフランシスコ講和条約」は中国に対して拘束力を持たない。(2)「サンフランシスコ講和条約」が定める信託統治範囲に釣魚島は含まれていない。と異議を唱えた。
ここで我々はサンフランシスコ講和条約が定める信託統治の在り方と尖閣諸島との関係について、考えて見たいと思う。

まず、尖閣諸島が琉球諸島に含まれている場合、しかも、尖閣諸島も琉球諸島もサンフランシスコ講和条約が定めた信託統治制度の下に置かれた場合、尖閣諸島並び琉球諸島の主権は一旦日本国から剥奪されて、国際連合或いは国際連合が指定した米国に委ねるべきである。その後、住民自決により、信託統治のままにするか、独立国家にするかを決めるわけである。 もし、日本と併合したいときも、独立国家になってから、両国間に国家併合の手続きを踏まえて達成すべきである。

次は「尖閣諸島が琉球諸島に含まれていない」中華人民共和国の主張について、考えてみたいと思う。

終戦までは確かに日本の領土であり、八重山郡に管轄された尖閣諸島に対して、1945年4月1日から既に尖閣諸島も琉球諸島も占領統治下に収め、サンフランシスコ講和条約を主導してきた米国は、わざわざ尖閣諸島を条約の第三条信託統治制度の対象から外す考えもなく、わざわざ条約の中に尖閣諸島を表記することもないのが自然ではなかろうか。

 仮に百歩譲って中華人民共和国の主張通りに「尖閣諸島が琉球諸島に含まれていない」場合、どうなるかを考えてみたい。この場合、ポツダム宣言第八項「吾等の決定する諸小島」が頼りになると思う。無論、この「吾等」は国連であり、中華人民共和国ではない筈である。中華人民共和国の前政權である中華民国は1945年から1971年まで、国連の常任理事国でありながら、尖閣諸島に対する米国の占領統治、琉球政府の和平かつ継続的な「現実の支配」に黙認をし続けてきた。

もし、中華人民共和国が自ら国連における前政權が黙認し続けてきたことに異議を唱えたい場合、まず、国連の場でポツダム宣言第八項に基づく「尖閣諸島の主権は日本に歸屬するか否かの判断」を提案すべきである。もし、結論は「尖閣諸島の主権は日本に歸屬しない」にしても、直ちに中華人民共和国に歸屬することではなく、無所属の島になるわけである。無所属の島である以上、これまで述べた論理によると、やはり、戰後米国の協力の元本日まで和平かつ継続的な國家権力を行使してきて、「有効占領」を実行し続けてきた日本のものになる筈であると考える。


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