【台湾選挙2024】決戦は来週土曜日！台湾選挙投票直前最新情報
台湾独立建国聯盟日本本部 林 省吾
来る1月13日の台湾総統/国会選挙まで2週間を切った。
・総統選挙は民進党が優勢
台湾の法律により投票日の10日前から、世論調査結果の公表、宣伝及び討論は禁じられている。
締切前最後の世論調査の結果によると、民進党の賴蕭ペアが優勢。
国民党侯趙ペアに安全リードを付けたと言えるほどの差はないが、民進党にとっては支持者の危機感を煽り、投票率を高めるためにちょうど良い数字ではないかと思われる。
野党側は最近、賴清徳実家の古い建物の違法建築疑惑に焦点を当てたが、炭鉱労働者である賴氏の父親が残したぼろぼろの建物を「豪邸」と称し、炭鉱労働者に対する差別発言するなどのやり方は、既存の支持者の求心力を強化できたのかもしれないが、有権者全般の反感を買ったようにも見え、その分、逆に民進党候補の数字を上乗せすることになった。
・主戦場は国会選挙である
2028年に政権交代を目指す国民党にとって、今回の総統選挙に勝つ必要はない。
民進党との得票率の差を10%以内まで追い詰めれば、善戦したとして事実上の勝利とも言える。
国民党にとって台湾本土出身の侯友宜は総統候補ではあるが、そもそも使い捨てできる駒にすぎないため、落選したところで別に惜しくない。
国民党の総統選挙の戦略目標は、国会（立法院）選挙を戦いやすくするための環境整備である。
国会選挙のための総統選挙、この点において民衆党も同じだ。
・勝敗を決める小選挙区に与党民進党は苦戦
そして国会選挙の勝負の分け目は小選挙区にある。
台湾国会113議席のうち、比例代表はたったの34席、政党間の議席変動があっても3~4議席に過ぎない。
民進党にとって国会の半数割れを阻止するには、結局は小選挙区で国民党との一騎打ちに打ち勝つしかない。
しかし中国の情報戦の影響で、小選挙区での与党民進党の不人気が著しく、林静儀(台中２区)や賴品妤(新北12区)など全国的知名度のある候補も苦戦が強いられている状況だ。
・民進党は選挙のうまさで巻き返しを図る
地盤の固い国民党に対し、「選挙に強い」民進党は敢えて小選挙区ではなく、比例区に焦点を当てた。
比例代表の安全リスト外に「お笑い」の要素も持つ政治評論家の王義川を入れ、テレビやネットに高い頻度で露出させることで、若い有権者の注目を一気に集めた。
そして高い人気を持つ王氏が小選挙区に応援に行く形で、相乗効果をもたらす戦術を展開した。
最終世論調査では、幾つの苦戦する選挙区の戦況を誤差範囲内にもつれ込ませることに成功した。
そして年明けにリリースした、民進党の最強応援団団長である蔡英文総統から賴蕭ペアにバトンタッチするという内容のCMも話題となり、ネットではたちまち「バズった」ような効果を納めた。
選挙終盤に士気を高め、支持者の勇気づけに成功したように見える。
・対立構造で台湾社会は分裂
決戦の土曜日に近づくほど、各政党の間にはお互いを攻撃し合い、支持者固めに出る傾向がある。
藍綠の間はもちろん、同じく台湾本土派同士であってもだ。
民進党は票の最大化を図るため、「三票民進黨」(総統/小選挙区/比例区の3票を全て民進党に入れよう)と大々的にに宣伝し、独立派政党有望株の台湾基進を牽制する動きも見られた。
一方、国民党と民衆党は揃って中国のフェイクニュースに乗り、与党民進党の無能と腐敗を攻撃した。
結果的に社会の分裂を促し、選挙に勝つために台湾内部の対立構造を深化させても構わないかのような選挙戦が繰り返されている。
・真の勝者は如何に
結論として、現時点では総統は民進党が優勢、国会は国民党と民衆党が合わせて過半数を取る勢いは変わらない。
民進党は逆風の中で善戦したが、予想されたねじれ国会の結果を覆すことは難しい。
結果、中国と太いパイプを持つ、リコールされた前高雄市長の韓國瑜氏が比例代表で政界に返り咲き、国会議長に選出されると予想が付く。
最も韓氏や中国に対抗できる政党である台湾基進は、逆に民進党の牽制で議席を確保するための比例区5%得票に届かない可能性が高い。
民進党は自分の手で国会の戦友を無くし、今後4年間の国会は野党の独壇場になる。
2028年の政権交代は一気に現実味が増し、中国の思惑通りに進むかに見える。
未来の視点から見ると、2024年台湾選挙の勝者は誰であるか、諸説あるだろう。
しかし、真の勝者が中国であることは、恐らくどの歴史家も否定できない。
台湾人自身の手によって、台湾の運命を閉じることのないよう、有権者一人ひとりの賢明な判断を期待する。
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