【台湾国際保護法】アメリカで成立した「TAIPEI ACT」 とその日本語訳について

【台湾国際保護法】アメリカで成立した「TAIPEI ACT」
とその日本語訳について
                              
           台湾独立建国聯盟日本本部委員長 王 明理

 すでにアメリカ議会で通過していた「TAIPEI
ACT」に3月26日、トランプ大統領が署名し、正式に成立した。正式名称は「Taiwan
Allies International Protection and Enhancement
Initiative」、頭文字を並べるとTAIPEI
となる。そのまま訳せば、「台湾同盟国際保護強化主導法」である。
 内容は台湾が国際社会の中で存在していけるようにアメリカがこれまで以上に積極的に働きかけていくというものであり、簡単に言えば、「アメリカが台湾を守る」決意を国内外に強く表明したものである。

 2016年の蔡英文政権の発足以来、中国政府は以前にも増して台湾の国際的孤立を画策してきた。例えば、台湾(中華民国)と国交のあった22の国々に「台湾と断交して中国と国交を樹立するよう」働きかけ、すでに7か国がそれに応じた。また、国際機関からも台湾を締め出し、以前は認めていたWHOやICAO(国際民間航空機関)へのオブザーバー参加資格も剥奪した。

今回の武漢新型コロナウイルス感染に関しては、台湾は自力で防疫に成功しており、「もし台湾がWHOに加盟していたら、世界はもっと迅速に的確に防疫対策が講じられたはずだ」という意見が各国から噴出している。台湾は2003年のSARS発生の時に、WHOと中国から情報を得られず、感染が広がって73名の死者を出した。まさに人権侵害、国際的イジメが行われてきたのである。

 「一つの中国」の原則をタテにしているのは中国政府のほうで、現在の台湾は「一つの中国、一つの台湾」の道を歩みたいと思っている。〈中国政府を認めるなら台湾を排除する〉という方程式は時代遅れであるが、中国が敢えてこの方程式に拘泥するのは「台湾を侵略し併呑する」ためであることを国際社会は認識するべきだろう。

 この為にアメリカで成立したのが、今回の「TAIPEI
ACT」である。台湾と新たに断交する国には経済支援や安全保障協力をしない、台湾の国際機関への加盟やオブザーバー参加を認めるよう働きかける、台湾の国際社会への参加をサポートする、等かなり踏み込んだ内容である。
アメリカの自由民主主義国を守る姿勢とともに、ここまで台米関係を強化確立してきた蔡英文総統の政治的努力も評価するべきであろう。

 一つ気になるのは、日本や台湾のメディアの中に、この法律を「台北法」と訳す例が見えることである。台湾のプレゼンスを貶めるために、中国は台湾に対し、「チャイニーズ・タイペイ(中国領台北)」と名乗るよう強要している。「台北法」と訳すと、それを想起させる。それは法律の内容と真逆になる。そうかと言って「台湾同盟国際保護強化主導法」ではいかにも長すぎるので、意味を損なわない程度に、「台湾国際保護法」を一案として提案したいと思う。
 


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