その後、台湾とエルサドバトルが断交した8月21日、米国の国務省は「深い遺憾を表明し、エルサルバドルとの関係を見直している」「台湾は民主主義の成功例で、信頼に値するパートナー」と表明する一方、コリー・ガードナー上院議員とマルコ・ルビオ上院議員(共和党)は2019会計年度の国防総省予算案にエルサルバドルへの援助の制限を盛り込む修正案を提出したと報じられている。
その上で、コリー・ガードナー上院議員とマルコ・ルビオ上院議員は9月4日、民主党のエド・マーキー議員とボブ・メネンデス議員とともに、「台北法」(Taiwan Allies International Protection and Enhancement Initiative Act、略称:TAIPEI Act)を議会に提出したという。
中央通信社によれば、この法案は「台湾に不利となる行動をとった国に対し、外交関係のレベルの引き下げや、軍事的融資などの支援の一時停止または変更などの措置をとる権限を米国務省に与える」内容だという。下記にその記事を紹介したい。
ちなみに、3月16日にトランプ大統領がサインすることによって成立した「台湾旅行法」(Taiwan Travel Act)の上院における提出者は、共和党からはマルコ・ルビオ議員とコリー・ガードナー議員、ジム・インホフ議員、民主党からもシェロッド・ブラウン、ロバート・メネンデス、ゲイリー・ピーターズの3議員も加わる超党派6議員によるものだった。
国務省が台湾とエルサドバトルの断交について「深い遺憾を表明し、エルサルバドルとの関係を見直している」と表明するのは異例と言っていいが、トランプ大統領の信任厚いマイク・ポンペオ氏が長官だからなせるところだったのだろう。
このような国務省の意向を背景とする「台北法」(TAIPEI Act)の提出であれば、成立する可能性はけっして低くない。今後に注目したい。
————————————————————————————-米上院議員、台湾支援の法案提出 中国の圧力に対抗、断交連鎖に歯止め【中央通信社:2018年9月6日】http://japan.cna.com.tw/news/apol/201809060005.aspx
(ワシントン 6日 中央社)米共和党のコリー・ガードナー上院議員らは4日、他国による台湾の国家の承認や台湾との非政府間交流などを支持するよう米政府に要求する法案「台北法」(Taiwan Allies International Protection and Enhancement Initiative Act、略称:TAIPEI Act)を議会に提出した。法案では、台湾に不利となる行動をとった国に対し、外交関係のレベルの引き下げや、軍事的融資などの支援の一時停止または変更などの措置をとる権限を米国務省に与えることが提言された。
ガードナー議員が5日に報道資料を通じて発表した。台湾の国際的地位の強化を目指し、中国の圧力の下で台湾との外交関係を断った国々に対応するための法案だという。ガードナー議員は、米国はあらゆる方法で台湾の国際的地位を守っていくと言及。法案は、台湾に対する中国のいじめに全面的に対抗するよう米政府に求めるものであり、同時に台湾から中国に鞍替えしようとしている国々に対して、その行為によってつけが回ってくることを示す強いメッセージでもあると訴えた。
ガードナー議員によると、法案はマルコ・ルビオ議員(共和党)、エド・マーキー議員(民主党)、ボブ・メネンデス議員(民主党)と共に提出した。
総統府の林鶴明報道官は6日、米国は台湾の最も重要な盟友だとし、米議会が長きにわたって台湾に対して支持を寄せていることに感謝を示した。
独立志向とされる蔡英文政権が2016年5月に発足してから台湾と断交した国は5カ国に上り、国交締結国は現在17カ国となっている。
(江今葉、葉素萍/編集:楊千慧)