米国務省は、台湾とエルサドバトルが断交した8月21日に「深い遺憾を表明し、エルサルバドルとの関係を見直している」と表明し、「台湾は民主主義の成功例で、信頼に値するパートナー」とも表明した。
一方、コリー・ガードナー上院議員(上院外交委員会東アジア・太平洋・国際サイバーセキュリティー政策小委員会委員長)とマルコ・ルビオ上院議員はエルサルバドルへの援助の制限を2019会計年度の国防総省予算案に盛り込む修正案を提出したという。
中央通信社の記事を下記に紹介したい。
ちなみに、蔡英文総統がパラグアイとベリーズへの外遊の経由地、米国のロサンゼルスに滞在中にトランプ大統領が「2019会計年度国防権限法案」に署名して成立させた8月13日、コリー・ガードナー上院議員は蔡英文総統と懇談している。ガードナー上院議員が米国の台湾への武器供与を常態化したいと述べると、蔡英文総統も「重大な兵器購入案については特別予算を組んで対応する」と応答したと報じられている。
台湾との関係の基礎に「台湾関係法」を据え、次々と国内法を整備して台湾との関係強化をはかっている米国ならではの素早い対応だが、台湾を「重要なパートナー」と位置づける日本政府にこれといった動きはないようだ。
今朝の産経新聞は「主張」(社説)で、政府に対して「民主主義の価値観を共有する台湾への圧力に日本は無関心であってはならない。中国に自制的に振る舞うよう働きかけるべきである」と呼び掛けている。政府はこの真摯な呼び掛けに誠意をもって応えるべきだろう。
————————————————————————————-米国務省、エルサルバドルとの関係見直し 米議員は援助制限提案【中央通信社:2018年8月22日】
(ワシントン 22日 中央社)中米エルサルバドルが中華民国(台湾)と断交し、中国と外交関係を結んだのに関し、米国務省は21日、深い遺憾を表明し、エルサルバドルとの関係を見直していることを明らかにした。米上院議員からは、エルサルバドルへの援助の制限を明記した予算修正案が提出された。
米国務省の報道官はメール取材に対し、米国は全ての国家に外交関係を決定する主権があると認めているとしながらも、エルサルバドルの決定に深い遺憾の意を示した。台米の実務関係のあり方を定める「台湾関係法」において、非平和的手段によって台湾の未来を決定しようとする行為は、ボイコットや通商禁止を含むいかなるものであれ、米国の最大の関心事とすると明記されているのを念頭に、米国は今回の件について高い関心を示しているとコメントした。
また、台湾は民主主義の成功例で、信頼に値するパートナーだとし、台湾を支持し続ける米国の姿勢を改めて示した。
米シンクタンク、戦略国際問題研究所のアジア情勢に詳しい専門家は、国務省がエルサルバドルとの関係見直しを表明しただけでなく、一つの中国政策や米中間の3つの共同コミュニケに触れず、台湾関係法のみに言及したことを指摘。台湾との関係強化は台湾に対する中国の軍事的、外交的圧力に対処するためであり、米中貿易の緊迫した情勢とは無関係であることをはっきり示すべきだと米国側に呼び掛けた。
米上院外交委員会東アジア・太平洋・国際サイバーセキュリティー政策小委員会のコリー・ガードナー委員長は21日、エルサルバドルへの援助の制限を2019会計年度の国防総省予算案に盛り込む修正案をマルコ・ルビオ上院議員とともに提出。ガードナー議員は報道資料で、この修正案は国際社会における台湾の地位を米国があらゆる手段を使って支援していくという直接的なメッセージになると述べた。