この法案は「台湾に不利となる行動をとった国に対し、外交関係のレベルの引き下げや、軍事的融資などの支援の一時停止または変更などの措置をとる権限を米国務省に与える」内容だそうで、台湾とエルサドバトルが断交した8月21日、「エルサルバドルとの関係を見直している」と表明した国務省と足並みがそろっている。
その国務省が9月7日、ドミニカ共和国、エルサルバドル共和国、パナマ共和国の3国に駐在の大使を召還したという(パナマは代理大使)。下記に産経新聞の記事をご紹介したい。
大使召還とはただごとではない。一時的に外交を断絶させることを相手国に通告し、断交も辞さないとする強い抗議の姿勢を表明し、国務省が「深い遺憾」を行動で現したことに他ならない。「台北法」を先取りして、米国はその本気度を、米国の国益をも侵そうとして台湾との断交を仕掛けた中国にも分かる形で示した。
今後、米国はこの3国への経済制裁など圧力を強めることも含め、中国になびく傾向に歯止めをかける措置を取ってくると思われる。推移を見守りたい。
————————————————————————————-米政府、台湾と断交の中南米3カ国の大使を召還 中国の影響力拡大に対抗策協議【産経新聞:2018年9月8日】
【ワシントン=黒瀬悦成】米国務省のナウアート報道官は7日、ドミニカ共和国とエルサルバドル駐在の米大使とパナマ駐在の米代理大使を本国に召還したと発表した。
ドミニカ共和国が5月、エルサルバドルが8月、パナマが昨年6月にそれぞれ台湾と断交し、中国と国交を樹立したのを受け、「事態に関して協議するため」としている。
トランプ政権は、中国が巨大経済圏構想「一帯一路」の一環として、巨額のインフラ投資や経済支援を手がかりに「米国の裏庭」である中南米やカリブ海諸国で影響力を拡大するのを警戒。特に、今年に入って台湾と外交関係を結んでいた国々が相次いで中国と国交を結んだことに強い危機感を抱いている。
ナウアート氏によると大使らは、米政府の首脳部と「中米とカリブ海一帯での強力かつ独立した民主体制と経済の支援に向けた方策について話し合う」としており、中国に対抗した中南米諸国との連携強化策を探るとみられる。
現在、台湾と外交関係がある中南米諸国はグアテマラ、ニカラグア、ホンジュラス、ハイチ、パラグアイなど9カ国。