【共産中国】利権で知識人抱き込む

【共産中国】利権で知識人抱き込む

 日本国籍取得反体制評論家 石平氏が見た北京
中日新聞(東京新聞)2009年3月9日 朝刊

http://www.tokyo-np.co.jp/article/world/news/CK2009030902000068.html

 中国出身の反体制評論家、石平氏(47)=千葉市在住=が、このほど七年ぶ
りに北京入りした。同氏は自由な言論を求め一昨年末、日本に帰化。天安門事件
から間もなく二十年の節目を迎える首都の底流に“元中国人”は何を見たか−。
 (外報部・佐々木理臣)

 −北京はどう変ぼうしたか。

 「政治中心の都市だったが、高層ビルが立ち並ぶピカピカの商業都市に変わっ
ていた。だが、最も衝撃を受けたのは人心の変わりようだ。大学時代の友人は大
学教授から不動産業者まで、私腹を肥やすのに懸命。公金から多額の宴会費用を
出したり、一族の銀行幹部の融資で役人にわいろを贈って規制を免れ、大もうけ
している。かつて腐敗撲滅を叫び、ハンストまでやった民主活動家が、だ」

 −知識人らはなぜ堕落したのか。

 「共産党の抱き込み作戦にはまった。一九八九年の天安門事件で学生たちの民
主化運動を弾圧した当局は、党が独占していた利権の一部を知識人にばらまく政
策に転じた。経済成長で利権が膨らみ、皆が甘い汁を吸える構造に浸ってきた」

 −党と知識人の“共存”は今後も続くか。

 「破綻(はたん)は目前だ。世界金融危機で経済成長が行き詰まれば、まず失
職した一般民衆が騒ぎ出す。次は不況で利権を失った知識人たちだ。社会に危機
感を抱く市民は多く、エリート層は財産や子どもを海外に移し、安全確保を図っ
ている」

 −政府は危機をどう乗り越えるつもりか。

 「ナショナリズムをあおり、不満を国外に向けさせるだろう。日中間の尖閣諸
島問題、台湾の独立の動き、資源をめぐる各国とのあつれき、フランスで昔の略
奪品が競売されたことへの反発など、なんでも逆手に取り、排外的な『愛国心』
に結び付ける手法だ」

 −七年前に比べ、良くなっていた面は。

 「店員の態度が変わり、道でタンを吐く人が減った。経済成長と北京五輪経験
のプラス面だ。庶民は党幹部の腐敗を厳しく監視し、インターネットでの不正告
発もできる。庶民の文化レベル向上に救われる思いだった」

 −隣国として注意すべきことは。

 「距離を置き静観することが最も重要だ。空母建造など軍拡の動きを冷静に観
察し、日本は国防体制強化が不可欠だ。企業も中国への集中投資を見直し、他の
国々と連携して『中国危機』に備えるときがきている」


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