「台湾の声」編集長 林 建良(りん けんりょう)
昨年の19回中国共産党大会の直後に拘束された魯煒・中央宣伝部副部長が2月13日に党籍と公職を剥奪された。中国共産党紀律委員会の発表では、罪になる理由の一つとして「党中央への忠誠心がない」ことがあげられている。「党中央」とはもちろん習近平のことである。党のトップへの忠誠心がないことが罪になるなら、日本の政治家のほとんどが牢屋に入れられているだろう。しかし中華民族の復興を目指し、中国の夢を果たそうとしている偉大な指導者への忠誠心がないことは到底許されることではない。
中国には旧正月の大晦日に放送される中国版紅白歌合戦・「中央電視台春節聯歓晩会」がある。今年の春節聯歓晩会も、例にもれず、他国を貶して中国を強く見せて中国人のプライドを満たす演出が盛りだくさんだった。さらに力を入れたのは、「一帯一路」や「偉大なる中華民族の復興」など、習近平の功績に対する礼賛だった。まるで北朝鮮のようだ。
それをみて楽しむ中国人の趣味も実に理解しがたいが、もっと分からないのは、強さを内外にみせると同時に、「忠誠心がない」として幹部を牢屋にいれる、習近平の自信のなさをもさらけ出していることだ。魯煒が習近平に忠誠かどうかは、我々には知る由もないが、2015年に米誌・タイムで「世界で最も影響力のある百人」に選ばれた彼が有能な男であることは間違いなさそうだ。しかし習近平がこの有能な男を見せしめの道具に使った。一罰百戒の効果を狙うなら、確かに抜群の効き目を期待できそうなやり方であるが、結果として習近平の周りにゴマすりで能無しの人間しか残らないということになろう。
その無能な集団が暴走して世界の大災難になるか、静かに自滅して世界の幸いになるかは、誰も知らないのだ。
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