「台湾の声」編集長 林 建良(りん けんりょう)
明日はクリスマスである。クリスチャンの少ない日本でも、あちこちでクリスマスソングを耳にし、色とりどりの飾りを目にする。こうした心を和ませる光景は年末の風物詩となり、クリスチャンでなくてもクリスマスを楽しめる。
しかし、中国共産党には、このような光景は西洋文化の侵略と映ったようだ。12月中旬以降、各地方の中国共産党支部から共産党党員や学生に、クリスマスに関連する活動を禁じるとの通達が出されている。「クリスマスは精神的アヘンだ」と。禁止の根拠となるのは、習近平の「中国人は文化自信を持つべきだ」という訓示であるようだ。つまり偉大な中華文化を持つ中国人は西洋発のクリスマスを祝ってはいけないということだ。これも習近平の「中華民族の復興」の一環であろう。
実は今年の一月に中国中央弁公庁・国務院弁公庁が、「国家文化安全」を守るため、「優秀な中華文化伝統の伝承及び発展に関する見解」という共同通達を出した。通達には、「中国固有の伝統文化である春節、清明、端午、中秋などの祭日を一層豊かにし、新たな祭日習慣を形成するように努めるべき」と書かれている。伝統文化を守れという文脈に、新たな祭日習慣を形成しろという指示そのものも理解しがたいが、「人類運命共同体」をも構築すると自信たっぷりに宣言した習近平がなぜこのような指示を出すのかは実に不可解だ。保身だけが最優先課題である中国共産党の幹部らには「国家文化安全」という大義名分の下でそれを詮索する余裕もなさそうだ。
結局彼らが考え出した策とは、クリスマスを追放することだ。確かにそれはとても分かりやすいことだが、その前にやることがあるのではないか。中国憲法の序文にあるマルクス・レーニン主義をどうするつもりかを是非教えてもらいたい。
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