「台湾の声」編集長 林 建良(りん けんりょう)
今まで噂に過ぎなかった「習近平皇帝」の誕生がいよいよ現実になる。これは中国人にとっても世界の人々にとっても災難でしかないが、習近平はこの日を心から待ち望んでいるのだろう。しかし、果たして皇帝即位は習近平の幸いになるのか。
一党独裁国家である中国は、権力を持つ八千万の共産党員と、権力に無縁な十数億の庶民によって構成されている。これだけでもかなりいびつな構造だが、習近平皇帝の誕生によって、今まで共産党員が共有していた権力が、さらに習近平に集中することになる。つまり習近平にとって、一気に八千万もの敵が誕生することになるのだ。それを恐れているか、習近平は即位とともに、官僚を調査し拘束できる絶大な権限を持つ「国家監察院」さえ新たに作る予定だ。
元々、反腐敗運動を通じて権力を固めた習近平は、党内で沢山の敵を作った。ただ、反腐敗運動が一般庶民に多く支持されたため、習近平の権力は揺るがなかった。しかし皇帝即位が反腐敗運動の正当性を打ち消すとともに、習近平の「中国の夢」とはしょせん私利私欲の夢にすぎないことを内外に曝け出す。習近平の正体を知った中国の庶民が彼を支持し続けるのかは甚だ疑わしい。結局、権力を強めるための憲法修正が、習近平の権力基盤を揺るがすことになりかねない。
因みに国家主席の終身制を可能にする憲法修正のニュースが出た途端、中国のネットユーザーが習近平に「袁二」という新しい渾名を付けた。「袁二」とは「袁世凱二世」の略称であると同時にワルという意味でもある。
皮肉なことに、権力基盤の強化を図るために帝政を復活させた袁世凱の皇位は83日しか続かなかった。「袁二」の皇位は何日続くのだろう。
—
台湾の声
バックナンバー
http://ritouki-aichi.com/category/vot
登録/解除
http://taiwannokoe.com/register.html
Facebook
https://www.facebook.com/taiwannokoe
Twitter
https://twitter.com/taiwannokoe
※この記事はメルマガ「台湾の声」のバックナンバーです。
講読ご希望の方は下からお願いします。