【中国ガン】核兵器より怖い中国の原発

中国ガン】核兵器より怖い中国の原発

中国ガン・台湾人医師の処方箋」より(林 建良著、並木書房出版)

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●二〇三〇年までに百二基の原子炉を新設

中国では経済成長にともない、エネルギー消費は今後も拡大するものとみられるが、現在主流になっている石炭火力発電では環境が悪化する一方であり、原子力発電の比重を高めなければならなくなっている。

現在の中国の発電能力は約四億キロワットで、その構成は、石炭火力発電七七%、水力発電一六%、原子力発電二%、風力発電一%となっている。石炭燃焼による汚染を減らし、電力供給を増やすため、中国が二〇三〇年を目途に原子炉を百二基新設する国家方針を打ち出している。

中国の原子力発電が始まったのはかなり遅く、日本より三十年以上も後の一九九〇年代からだ。しかも、中国の原発は炉型戦略に一貫性がなく、自主開発のものとフランス製、ロシア製、カナダ製など、さまざまなタイプの原子炉を採用しているため、燃料、スペアパーツ、取り替え用機器の円滑な供給、保守員の訓練、安全規則への影響などが懸念されている。

中国当局は二〇二〇年までの原発増設計画に、東芝グループのウェスティングハウス製の最新鋭で安全性の高い原子炉(AP1000)を一部だけ採用し、大半は安全性の低い旧式原子炉(CPR1000)を導入している。

ちなみに、中国広東省にある大亜湾原発も旧式の原子炉で、二〇〇五年以降だけでも三回以上の事故を起こしているという。

原発のメンテナンスを中国人がしっかりできるかどうか、という問題がある。
中国人といえば「粗製濫造」という言葉が思い浮かぶが、その伝統工芸品の精緻さなどを見ても、あるいは近年問題になっている模造品の精巧さ(これも伝統文化?!)を見ても、彼らは必ずしも不器用な民族ではない。だが、それでもメンテナンスだけはきわめて苦手なのだ。

要するに、物を作るまではいいが、それを大切に維持していくというのが下手なのだ。
公共建設ではワイロ、水増し請求等々による利益が生じるため、中国人は熱心にそれに取り組む。そのプロジェクトが大きければ大きいほど莫大な利益が懐に入ってくるので、中国人は大好きだ。だから、原発を作るとなれば建設には真剣となる。しかしそれらが完成した後、メンテナンスとなると利益が少なくなるため、途端に興味を失う。なんとも「現金」な民族性なのだ。

原発の事故も懸念される。二〇〇八年八月二八日、江蘇省連雲港市の田湾原発で爆発による火災が発生した。これを最初に報じたのは香港紙だったが、なんと事故から半月もたった九月一八日だった。中国本土ではいっさい報道されなかったものの、香港紙が報じたことで、翌十九日になって慌てて「軽微な火災があった」と報じた。ところが、それでも「爆発」によるとは報道しなかったのだ。

香港から五〇キロほど東方の広東省にある大亜湾原発は、二〇一〇年五月以降だけでも三件もの放射能漏れ事故が報告されている。しかし事故の公表は、いずれもマスコミ報道の後だった。

中国の原発は人材不足や巨額な贈収賄から生じた手抜き工事のため、事故発生のリスクは先進国より高いと予想されている。ところが、事故の報告は極端に少ない。これは言うまでもなく中国の隠蔽体質によるものだ。
こうした隠蔽体質により、「中国の原発もチェルノブイリのような事態に陥るのではないか」と世界の不安を掻き立てるのだ。

●核兵器より怖い中国の原発

中国の核兵器よりも、実は原発の方が危険だという見方もできる。たとえ独裁国家でも、核兵器となれば厳重に管理を行い、その行使の決定を下すにもいくつものプロセスがある。

だが、原発事故とそれによる核汚染は、普通の人間のミスによりいつでも簡単に発生してしまう。中国ではいったん事故が起これば、被害はどんどん拡大していく可能性が極めて高い。

急ピッチで建設している中国の原発のほとんどは沿海地域に集中している。そこはウイグルやチベットと違って、人口が密集しており、数億単位の人間が住んでいる。そこで原発事故が起これば想像を絶するほどの甚大な被害となろう。

 これは日本にとっても他人事ではない。これから中国が増設しようとしている臨海地域の多くは、日本にとっては風上、海流の上流である。原発事故が起これば、放射能汚染物は黄砂のように偏西風に乗って日本に運ばれる。日本の水も汚染される可能性があるのだ。

だが、中国は利権のために原発を乱増し、日本に大きな脅威をもたらそうとしている。

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