【AC論説】台湾選挙の前と後

【AC論説】台湾選挙の前と後
【AC論説】台湾選挙の前と後

          アンディ チャン

台湾の選挙はあと五日となった。民進党の勝利はほぼ確実と言うが、
民進党の得票よりも国民党が立法院(国会)で三分の一議席を確保で
きるかが最大の焦点となる。次の焦点は民進党が過半数議席を取れ
るか、ヒマワリ学生の時代力量党が何議席を取れるか、宋楚瑜の親
民党と黄昆輝の台聯党が生き残れるか、などである。

日本やアメリカから新聞記者が選挙を見に行くそうだが、投票前に
注目すべきことと、投票の結果が台湾にどのような変化をもたらす
か、注目すべき事項について意見を述べてみたい。

●戦い済んで首実検

民意調査で蔡英文が20%以上リードして、ラストスパートになって
もほとんど変わりがないから蔡英文当選は間違いないだろう。注目
すべきは蔡英文の得票が4百万票を超えるか、つまり投票総数を
1200万票と見積もって蔡英文800万対朱立倫400万票となるかにあ
る。第三候補の宋楚瑜は100万票を取るのが目標で、100万票取れ
ば親民党は生き残れるだろう。

次に立法委員選挙だが、立法院の議席は総数113だから過半数は57、
国民党が3分の1の37議席以上取れたら重要法案の結果を左右する
だけの票を維持出来る。國民黨はこれまで濁水渓以北で絶対優勢だ
ったが、今回は桃園市、新北市も台北市でも苦戦している。

台中、新竹、苗栗の国民党議員も落選が多いだろう。南部はすでに
民進党と独立主張を表明する野党が取ると言われているから、濁水
渓以北の国民党候補の落選が大きな話題となる。国民党の大物が何
人落選するか、戦い済んだら首実検である。

●外国の干渉

外国の干渉があるとすればアメリカと中国しかない。中国はいろい
ろな高圧手段で国民党を擁護する、中国にいる台湾商人に金銭や商
業利益などで国民党に投票するように要求する。選挙で中国側がど
のような手段を使うかに注意したい。

二年前の総合選挙で国民党が惨敗し、台湾人民が反中国、反国民党
であることが明らかになり、選挙前の民意調査で国民党が苦戦して
いるので中国の干渉は逆効果だが、どんな手段を使うか注意したい。

アメリカはいつも台湾の選挙に干渉してきた。国民党は「92共識」
を中台関係の要諦と主張してきたが、92年の中台協議で合意はなか
ったし文書も存在しない。しかし国民党側は共識があったと主張し、
蔡英文が政権を取れば共識を否定する、中台関係が緊張すると宣伝
する。事実として92共識は無かったことは衆知のことだから今回の
選挙で92共識を云々するのはマイナス効果しかない。

アメリカの元AIT台北所長・ダグラス・パール(Douglas Paal)は
2012年の総統選挙の時に台湾を訪問し、投票の二日前に「92共識
は中台関係の安定に役立ち、中台両側が受け入れた妥協方式であり、
もしも蔡英文が当選した後で92共識を否定するなら中台関係が緊
張するかもしれない」と述べて馬英九支持を表明した。

ダグラス・パールはもともと存在しない「92共識」を、存在する、
重要である、蔡英文が当選すれば中台関係が壊れると言ったのであ
る。このため蔡英文は89万票の僅差で落選した。

蔡英文は去年夏に訪米して国務省、国防部などを歴訪した。アメリ
カの反応はかなり良かったので、今回はあからさまな干渉はしない
と思われる。馬英九の中国接近、中国の南シナ海の勝手な建設でア
メリカはアジア回帰を宣言した。台湾の選挙には干渉せず静観する
だろう。また蔡英文も「現状維持」を表明してアメリカが反感を持
たないよう注意している。但し選挙前にアメリカは誰かを派遣して
訪台することは考えられるし、訪台したあとどのような意見発表を
するか、特に注意すべきである。

●選挙の後の予測

選挙は関ヶ原の戦いと同じく、洞ヶ峠の裏切もあるし投票前の形勢
逆転もあるから決して楽観できない。選挙が終われば中国、アメリ
カ、日本などが台湾で誕生した新政権との関係について意見の発表
がある。またアジア諸国、世界各国もいろいろな発表があり、これ
ら諸国の意見を総合して台湾関係がどのように発展するかを判断す
ることが大切だ。

台湾の新政権は真っ先に蔡英文が「現状維持」を発表をすると思わ
れる。民間では独立志向の強いグループが批判するかもしれないが、
当選しても早急に独立志向を表明するような愚行を犯してはならな
い。現状は徐々に変化していくもので、台湾のような国際的にあま
り注意されない(中華民国も、である)政権が慌てて独立を発表す
るより国を安定させ諸国との関係を好転させる方が大切である。

新政権にとって最も大切なことは内政である。これまでの国民党政
権は司法、行政、経済など各方面で不合理な官商癒着、国民党独裁
と官僚の汚職が絶えなかった。真っ先に司法を改革して正しい政治
が行われ、実行力のある政権を目指すことが肝要である。

次に重要なことは外交と軍隊の改革である。馬英九は8年の政治に
おいて「外交休戦」を主張し、外交も軍隊もすっかりダメになった。
外交を中止する国は世界で初めてである。何年もアメリカと交渉し
て買った最新のアパッチヘリコプターを軍人が芸人に基地に入って
参観することを許し、機密のコックピットに座って写真を取らせ、
結果として軍人も芸人も有罪判決を受けなかったような呆れた国で
ある。いくら最新の武器を買っても戦争など出来るはずがない。新
総統の任務は国を立て直すことである。新総統の当選演説でこれら
諸問題についての抱負を注意して聞くべきである。

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