のアンディ・チャン氏もまた傾聴すべきポイントを指摘している。
最大の焦点は「民進党の得票よりも国民党が立法院(国会)で3分の1議席を確保できるか」だと
いう。なぜなら「国民党が3分の1の37議席以上取れたら重要法案の結果を左右するだけの票を維持
できる」からだと指摘する。
次のポイントは「民進党が過半数議席を取れるか、ヒマワリ学生の時代力量党が何議席を取れる
か、宋楚瑜の親民党と黄昆輝の台聯党が生き残れるか」だという。
アンディ氏はアメリカと中国の「選挙干渉」にも言及し、また、選挙後の新政権が取り組むべき
こととして、第1に司法改革を挙げ、次が外交と軍隊の改革だとしている。
原題は「台湾選挙の前と後」だったが、少し茫漠とした感のあるタイトルなので「台湾選挙の焦
点はどこか─総統選と立法委員選の前と後」と改題したことをお断りしたい。
台湾選挙の前と後 Andy Chang
【Andyの国際ニュース解説No.576:2016年1月11日】[AC論説] No.576
台湾の選挙はあと5日となった。民進党の勝利はほぼ確実と言うが、民進党の得票よりも国民党
が立法院(国会)で3分の1議席を確保できるかが最大の焦点となる。次の焦点は民進党が過半数議
席を取れるか、ヒマワリ学生の時代力量党が何議席を取れるか、宋楚瑜の親民党と黄昆輝の台聯党
が生き残れるか、などである。
日本やアメリカから新聞記者が選挙を見に行くそうだが、投票前に注目すべきことと、投票の結
果が台湾にどのような変化をもたらすか、注目すべき事項について意見を述べてみたい。
●戦い済んで首実検
民意調査で蔡英文が20%以上リードして、ラストスパートになってもほとんど変わりがないから
蔡英文当選は間違いないだろう。注目すべきは蔡英文の得票が400万票を超えるか、つまり投票総
数を1200万票と見積もって蔡英文800万対朱立倫400万票となるかにある。第3候補の宋楚瑜は100万
票を取るのが目標で、100万票取れば親民党は生き残れるだろう。
次に立法委員選挙だが、立法院の議席は総数113だから過半数は57、国民党が3分の1の37議席以
上取れたら重要法案の結果を左右するだけの票を維持できる。国民党はこれまで濁水渓以北で絶対
優勢だったが、今回は桃園市、新北市も台北市でも苦戦している。
台中、新竹、苗栗の国民党議員も落選が多いだろう。南部はすでに民進党と独立主張を表明する
野党が取ると言われているから、濁水渓以北の国民党候補の落選が大きな話題となる。国民党の大
物が何人落選するか、戦い済んだら首実検である。
●外国の干渉
外国の干渉があるとすればアメリカと中国しかない。中国はいろいろな高圧手段で国民党を擁護
する、中国にいる台湾商人に金銭や商業利益などで国民党に投票するように要求する。選挙で中国
側がどのような手段を使うかに注意したい。
2年前の総合選挙(編集部註:2011年11月29日の統一地方選挙「九合一選挙」)で国民党が惨敗
し、台湾人民が反中国、反国民党であることが明らかになり、選挙前の民意調査で国民党が苦戦し
ているので中国の干渉は逆効果だが、どんな手段を使うか注意したい。
アメリカはいつも台湾の選挙に干渉してきた。国民党は「92共識」を中台関係の要諦と主張して
きたが、92年の中台協議で合意はなかったし文書も存在しない。しかし国民党側は共識があったと
主張し、蔡英文が政権を取れば共識を否定する、中台関係が緊張すると宣伝する。事実として92共
識は無かったことは衆知のことだから今回の選挙で92共識を云々するのはマイナス効果しかない。
アメリカの元AIT(米国在台湾協会)台北所長・ダグラス・パール(Douglas Paal)は2012年
の総統選挙の時に台湾を訪問し、投票の2日前に「902共識は中台関係の安定に役立ち、中台両側が
受け入れた妥協方式であり、もしも蔡英文が当選した後で92共識を否定するなら中台関係が緊張す
るかもしれない」と述べて馬英九支持を表明した。
ダグラス・パールはもともと存在しない「92共識」を、存在する、重要である、蔡英文が当選す
れば中台関係が壊れると言ったのである。このため蔡英文は89万票の僅差で落選した。
蔡英文は去年夏に訪米して国務省、国防部などを歴訪した。アメリカの反応はかなり良かったの
で、今回はあからさまな干渉はしないと思われる。馬英九の中国接近、中国の南シナ海の勝手な建
設でアメリカはアジア回帰を宣言した。台湾の選挙には干渉せず静観するだろう。また蔡英文も
「現状維持」を表明してアメリカが反感を持たないよう注意している。但し、選挙前にアメリカは
誰かを派遣して訪台することは考えられるし、訪台したあとどのような意見発表をするか、特に注
意すべきである。
●選挙の後の予測
選挙は関ヶ原の戦いと同じく、洞ヶ峠の裏切もあるし投票前の形勢逆転もあるから決して楽観で
きない。選挙が終われば中国、アメリカ、日本などが台湾で誕生した新政権との関係について意見
の発表がある。またアジア諸国、世界各国もいろいろな発表があり、これら諸国の意見を総合して
台湾関係がどのように発展するかを判断することが大切だ。
台湾の新政権は真っ先に蔡英文が「現状維持」を発表をすると思われる。民間では独立志向の強
いグループが批判するかもしれないが、当選しても早急に独立志向を表明するような愚行を犯して
はならない。現状は徐々に変化していくもので、台湾のような国際的にあまり注意されない(中華
民国も、である)政権が慌てて独立を発表するより国を安定させ諸国との関係を好転させる方が大
切である。
新政権にとって最も大切なことは内政である。これまでの国民党政権は司法、行政、経済など各
方面で不合理な官商癒着、国民党独裁と官僚の汚職が絶えなかった。真っ先に司法を改革して正し
い政治が行われ、実行力のある政権を目指すことが肝要である。
次に重要なことは外交と軍隊の改革である。馬英九は8年の政治において「外交休戦」を主張
し、外交も軍隊もすっかりダメになった。
外交を中止する国は世界で初めてである。何年もアメリカと交渉して買った最新のアパッチヘリ
コプターを軍人が芸人に基地に入って参観することを許し、機密のコックピットに座って写真を取
らせ、結果として軍人も芸人も有罪判決を受けなかったような呆れた国である。いくら最新の武器
を買っても戦争など出来るはずがない。新総統の任務は国を立て直すことである。新総統の当選演
説でこれら諸問題についての抱負を注意して聞くべきである。
● 桜募金ご協力のお願い 日本から台湾に桜を贈り一緒にお花見をしよう!!
http://www.ritouki.jp/index.php/info/20151217/
【桜募金要項】
◆ 1口=2,000円
*募金にご協力いただいた方全員のお名前のプレートを植樹した桜に掛け、長く銘記する予定です。
*15口(3万円)以上の篤志者の方には、李登輝元総統ご揮毫の色紙「為国作見證」(印刷)
と「我是不是我的我(私は私でない私)」文鎮を贈呈の予定です。
◆募金期間 平成27年(2015年)12月15日〜同28年(2016年)3月31日
・郵便貯金
日台桜基金会 (ニッタイサクラキキンカイ)
記号・番号:10000・30439851
・ゆうちょ銀行
日台桜基金会 (ニッタイサクラキキンカイ)
店名:〇〇八(ゼロゼロハチ) 店番:008 普通預金:3043985
・銀 行
三菱東京UFJ銀行 本郷支店 普通 0149224
日本李登輝友の会 事務局長 柚原正敬
(ニホンリトウキトモノカイ ジムキョクチョウ ユハラマサタカ)
・郵便振替 *「桜募金」と明記して下さい。
日本李登輝友の会 (ニホンリトウキトモノカイ)
00110−4−609117