【AC論説】「現状維持」との決別

【AC論説】「現状維持」との決別

               Andy Chang

数日前に書いた「沖縄の基地を台湾に移転」について、「台湾の声」
に賛否両論としてウエストケンタッキー大学のティモシー・リッチ
副教授の基地移転反対論を掲載した。米国ではジョン・ボルトン氏
の沖縄基地を台湾に移転する提案に反対する声があるし、トランプ
大統領がボルトン案を受け入れたのでもない。

台湾に米軍基地を作る案は中国の強い反対にあうのは当然だし米国
のサヨクも反対している。しかし過去40年続いた米国の中国政策は
既に破綻し、無理無体な中国の領土主張と、勝手な南シナ海の島々
の軍事建設を抑止することができなかった。米国のアジア回帰にと
って台湾は最も大切な戦略であることは誰も反対できないだろう。
アメリカが推進してきた「現状維持」は既に終わり、米国は新アジ
ア政策を模索、決定すべき時である。

●ティモシー・リッチの論点

リッチ教授の基地移転反対はアメリカが推進してきた現状維持の延
長である。彼の論文は以下の数点である:

第一に、米台関係はすでに台湾関係法があるので台湾の安全は保障
されている。米国の軍事基地を台湾に建設するのは「三つの米中コ
ミュニケ」(72,79,82年)に違反すると言う。だが米国の中国政
策は失敗だったからトランプは米国の「一つの中国」に疑問を呈し
たのである。アメリカは過去40年の融和政策が中国の覇権進出を阻
止できなかったのである。

第二に、リッチ氏はトランプが「台湾カード」で中国と交渉すれば
米中関係が悪化することに懸念している。しかも台湾が「台湾カー
ド」に同調するとは限らないと疑問を抱いている。米国が「台湾カ
ード」を使えば中国は「北朝鮮カード」を使うかもしれない、中国
が強い態度を取れば戦争になるもしれないと言う。だがトランプは
台湾カードではなくアジア回帰を目指しているから、米中間の緊張
や中国の恫喝は避けられない。それより戦争になるとすれば米国は
戦争準備をすべきで、戦争になれば台湾は最前線だから早急に台湾
の軍備を急ぐべきではないだろうか。つまり、リッチ氏の主張は戦
争を避けるため台湾の現状維持を保てと言う、私の主張は戦争に備
えて台湾の基地強化を急げと言うのである。

第三に、リッチ氏は中国は「一つの中国」の立場を変得るはずがな
いと言う。更に、米国が強硬路線を取れば中国も台湾接近を強める
に違いないと言う。これこそ米国サヨクの間違った主張だ。中国が
路線変更をしないから米国は「一つの中国」を認め、現状維持を続
けるのか。中国の主張に反対すれば戦争になると危惧するのか。

●オバマと馬英九の失敗

キッシンジャーからオバマに至るまで、中国が民主化すれば平和を
守り法に従う国となると信じてきた。これこそが大きな間違いで、
中国人が4000年来覇権を繰り返してきた人種であることを理解で
きなかったし、日本にも「友愛の海」を信じる政治家がいた。

オバマの8年は中国に対して融和路線をとり、アジア回帰などのリ
ップサービスは中国が覇権拡張を阻止できなかった。オバマは台湾
の選挙にも介入し、ダグラス・パールを派遣して選挙の前々日に国
民党支持を発表した。馬英九は統一を推進して台湾の軍事力は大幅
に弱体化した。中国は米国のリップサービスを無視して南シナ海の
建設を継続し、要塞化した。

米国は台湾独立に反対し、中国の台湾併呑を阻止するのは「台湾・
デモクラシー」だと歌い続けてきた。中国が民主化すれば台湾を併
呑しても米国は賛成するか、アジアは平和になるか。答えは明らか
にノーである。

つまり米国の「中国と台湾が平和裏に問題解決すべき」と言う主張
は机上の空論である。米国が台湾の独立を認めれば中国の覇権進出
は止まる。米国の対中融和がアジアの不穏を招いているのである。

●「現状維持」から決別せよ

アジアの平和の鍵は台湾である。私の主張は以下のように箇条書き
できる:
第一、台湾を失えばアジアは南北に分断され、米国はアジアを失う。
中国が太平洋進出し、米国は西海岸まで脅威にさらされる。
第二、米中が戦争になれば中国は真っ先に台湾を攻撃する。だから
こそ台湾の防御力を堅固にすべきである。
第三、台湾に米軍基地を作れば中国は台湾を攻撃できなくなる。つ
まりアジアの平和は沖縄の基地を一部でも台湾に移すことで達成で
きる。そして沖縄の基地反対の圧力を軽減できる。
第四、台湾が独立すれば中国の進出は止まる。米国は「三つの中国
コミュニケ」を捨て、現状維持を捨てて台湾の独立を支持する「新
アジア政策」を発表すべきである。


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