【呼びかけ】日本版・台湾関係法の早期制定を!

【呼びかけ】日本版・台湾関係法の早期制定を!
【呼びかけ】日本版・台湾関係法の早期制定を! 

【呉竹会アジアフォーラム「青年運動」:平成27年5月15日号】

               柚原 正敬(日本李登輝友の会事務局長)

 日本と台湾の絆は深い。国交がないにもかかわらず、交流の幅も広く密度も濃い。

 例えばそれは、人的往来に端的に現れている。昨年は台湾から約283万人が来日して韓国や中国
を追い抜き、1998年以来16年ぶりにトップに立った。日本からも163万人が訪台し、いずれも過去
最高を更新している。

 人的往来だけではなく、近年は自治体同士による姉妹都市提携も少なくない。1979年10月の青森
県大間町と雲林県虎尾鎮の提携以来、2014年11月の群馬県渋川町と彰化県社頭郷まで35の自治体が
協定を結んでいる。仔細にその状況を見てみると、2012年以降の3年間で約半数の17件に及んでい
る。

 日台の提携は都市提携に限らない。大手メディアで報道されないためあまり知られていないよう
だが、鉄道関係の提携も少なくない。1986年1月の大井川鐵道と阿里山森林鉄道の姉妹鉄道提携を
嚆矢として、2013年4月の黒部峡谷鉄道と阿里山森林鉄道、本年3月の西武鉄道と台湾鉄路管理局ま
で12件ある。大井川鐵道と阿里山森林鉄道以外の11件は2013年以降に結ばれている。

 それ以外に、昨年だけでも富士山と玉山の友好山協定(2月)、広島県教育委員会と桃園県教育
局の教育協定(5月)、秋田県スキー連盟と台湾スキー協会の友好協定(8月)、瀬戸内しまなみ海
道と日月譚自転車道の姉妹自転車道協定(10月)など枚挙に暇がない。

 台湾を修学旅行先とするケースも急増している。文部科学省は昭和61年以来、2年ごとに高校生
の修学旅行先の調査をしている。最近の中国と台湾を見てみると、平成18年度は中国の16,000人に
対して台湾は3,600人、20年度は中国が11,000人に対し台湾は8,000人と徐々に差を縮め、ついに平
成23年度には台湾は12,000人となって中国の9,000人を抜いて逆転している。25年度はさらに差を
広げた。

 日台間の交流が密になった背景として、やはり東日本大震災のことを抜きには語れない。台湾か
らは200億円を超える義捐金と560トンもの支援物資が寄せられ、これに感謝の念を表しようとする
日本からの訪台が相次いだ。都市提携や鉄道提携の背景には、観光客誘致という経済的要因もある
が、東日本大震災をきっかけとした台湾への安心感と信頼感がその根底にあることは疑えない。

 ところが、日本と台湾の間には国交がない。日本は昭和47年9月に中国と国交を樹立すると同時
に台湾と断交した。その後、台湾との関係を「非政府間の実務関係」とし、政府間交渉は一切行っ
ていない。日本は交流協会、台湾は亜東関係協会をお互いの窓口として、断交直後の12月に交わし
た3項14目からなる「在外事務所相互設置に関する取決め」を唯一の拠り所として実務関係を維持
してきた。

 この「取決め」に従って、交流協会は邦人保護やビザ発給、情報収集、友好親善など、ほぼ大使
館の機能を果たす事務所を台湾に設け、台湾側も日本に設けた台北駐日経済文化代表処がその機能
を果たし、お互い主権に関わることを処理している。

 しかし、これは「取決め」であって法律ではない。現在、日台間の実務関係を保障する法的裏づ
けは一切ない。日台関係はこの不安定な中で辛うじて実務関係を維持しているのが現実で、この無
法状態は法治国家として異常だ。

 台湾を「核心的利益」と位置づけ、「中華人民共和国の領土の不可分の一部」と公言して台湾併
呑を目論む中国は、その不安定を衝くように、交流協会台北事務所のビザ発給について、2つの中
国の出現を引き起こし、台湾を単独の政治実体としてみなすものだと抗議したことがあった。1983
年6月のことだ。

 日本はこのとき中国の抗議に屈しなかったが、中国は近年、急速な経済発展を背景に、海軍力を
中心とした軍事力の拡大を図りつつ強引な海洋進出を企てており、アジア・太平洋地域の平和と安
定にとって最大の脅威となっている。今後さらに緊張の高まることが予想され、日本政府が中国か
らの抗議を極端に恐れた場合、日台間の交流が途絶する可能性も否定できない。そのため、日本が
今後も負担と犠牲を避ける無責任な態度をとり続ければ、日米同盟の絆が弱まることは避けられ
ず、アジア・太平洋地域の平和と安定が失われ、ひいては日本の国益が大きく損なわれることは衆
目の一致するところであろう。

 アメリカは1979年1月に中国と国交を樹立すると同時に台湾と断交したが「台湾関係法」を制定
し、台湾との外交関係を保つ法的根拠としている。「防御的な性格の兵器」という限定はついてい
るものの、台湾への武器供給も定めている。

 ところが、日本は台湾と運命共同体という関係にありながら、これまで台湾問題について主体的
な関与を避け責任を回避してきた。日本が今後、国益を損なわずにアジア・太平洋地域の平和と安
定を維持しようとするなら、台湾関係法に基づいて安全保障を含む台湾との緊密な関係を維持して
いるアメリカの政策との整合性を有する台湾政策を策定して推進する必要があることは多言を要し
まい。

 従って、日本が安全保障を含む台湾との緊密な関係を維持しようとするなら、「日本版・台湾関
係法」を制定することが喫緊の課題と言える。

 日本李登輝友の会が2年前に「日本版・台湾関係法」の制定を提唱して以来、台湾の李登輝元総
統はその賛同者であり、台湾では政府の外交部、民進党や台湾団結聯盟などの政党、台湾安保協会
などの民間機関も「日本版・台湾関係法」の制定に賛意を表している。

 一方、中国は「断固反対」を表明している。この反対表明こそ制定の必要性を雄弁に物語ってい
る。早急に制定されなければならない所以でもある。

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