【傳田晴久の台湾通信】「武漢肺炎(COVID-19)への対応」

【傳田晴久の台湾通信】「武漢肺炎(COVID-19)への対応」
【傳田晴久の台湾通信】「武漢肺炎(COVID-19)への対応」

1. はじめに

日本の武漢肺炎(COVID-19)蔓延に関する緊急事態宣言が解除され、やや収まりつつあるかに見えますが、欧米各国の状況は目を覆うばかりです。台湾の状況は世界の模範といわれていますが、このような状況を見ていて、台湾のある方の発言を思い出しました。その方は、台湾通信No.16「友愛グループ」、同No.55「多謝台湾ツアー報告」にて若干紹介した許國雄氏で、彼は私(達)に、「日本に留学する子は親孝行、アメリカに留学する子は親不孝者。利己主義者になって帰ってくる」と語られました。

日本の武漢ウイルス禍はまだ完全に収束したわけではありませんが、死者の数が他の国に比してきわめて少ないので、日本の政府の対応、防疫方法、日本人の態度などに奇異の目が向けられています。
今回の台湾通信では、許國雄氏の言葉を思い出しましたので、それに絡めて「武漢ウイルス禍」についての感想を述べてみたいと思います。

2. 武漢肺炎(COVID-19)欧米の惨状

武漢肺炎(COVID-19)が話題になり始めたのは昨年の末頃でしたが、クルーズ船ダイアモンドプリンセス号に対する日本の対応が悪いと散々非難した欧米諸国は、その後どうであったか。イタリア(船長の出身国)、イギリス(船籍の国)、アメリカ(クルーズ船の運営会社)などなど、今や南米、アフリカにも飛び火し、各国は必死で防疫に努めています。報道される現地の様子を、テレビや新聞のニュースで見させていただいておりますが、日本の状況とはだいぶ様子が違うようです。
今でこそそれらの国々の人々もマスクをしたり、外出を控えたり、いわゆるソーシャルディスタンスを守っている姿が報道されていますが、それらの国で感染が爆発的に拡大しているころには、いわゆる「三密」など守っているようには見えませんでした。
日本以外の国々は「都市封鎖」「外出禁止令」「高額な罰金」などという強硬な手段を用いることにより、燃え広がる感染を抑止しているように見えます。

3. 日本は模範?

日本では4月7日に「緊急事態宣言」が発令され、5月6日までの1か月間、「生活の維持に必要な場合」を除く外出自粛要請、学校や映画館などの休業の要請・指示、イベント開催の制限・中止の要請・指示などがなされました。それも5月25日全国において解除されました。

私は、外出自粛要請の「緊急事態宣言」発令の翌日、虎ノ門病院に抗癌剤治療のために入院しました。朝8時半ころ、大きな荷物をもって小田急線、千代田線、銀座線を乗り継いで参りましたが、普段はラッシュアワーで押し合い圧し合うのに、車内は全くガラガラ、しかも座っていくことが出来ました。マスクを着用している乗客は8、9割いたようです。
他人に移さないためにマスクをするようにとの要請、三密を避けるようにとの外出自粛要請、命令ではありませんし、要請を無視しても罰金を科せられるのでもないのに、ほとんどの人々はその要請を受け入れていました。
その成果でしょうか、6月16日時点の統計によれば、日本の感染者数は17,502人、死者は925人とのことです。感染者数上位10か国の状況は次の通りです。

   感染者数  死亡者数
米国   2,155千人 118千人
ブラジル  891    44
ロシア   537    7
インド   343    9
イギリス  296    41
スペイン  291    27
イタリア  237    34
ペルー   232    6
イラン   189    8
ドイツ   188    8

全世界の合計数は、感染者数8,005千人、死亡者数435千人です。
このように日本の状況は他の国々に比して死亡者数が圧倒的に少ないのですが、その理由、原因について、ある種の人々は日本の政府は無為無策であるにも関わらず、日本人の民度が高いからと説明しています。

4. 許國雄氏の言葉

私は2001年7月下旬に開催された「日本精神あふれる台湾を訪ねて」というツアーに参加し、台湾南部の高雄市にある「東方工業專科学校」(現・東方設計大学)を訪問しました。そこで当校の創設者である許國雄氏にお目にかかり、いろいろお話しいただきました。

許國雄氏は台湾の政治家、教育家、医学博士で、大の親日家でした。氏が設立された東方工業專科学校には台湾初の日本語学科が設けられており、校内に設けられた日本間には確か天照大神(あまてらすおおみかみ)の掛け軸がありました。我々が訪問した時はまだ新幹線(高鐵)は計画段階でしたが、氏は、今度台南に新幹線の駅が出来るので、その駅前に東方大学を設立し、日本研究所を作りたいとおっしゃっていました。

氏は米国のジミー・カーター大統領と親交があり、「カーターとは16年前に酒を飲み、16年後に台湾関係法(Taiwan Relation Act)を作らせた」と話されました。台湾の安全保障の中核にある台湾関係法成立を推進されたのでした。日米両国の文化に精通された先生が仰る「アメリカに留学する子は利己主義者になって帰ってくる」という言葉を、武漢肺炎禍にさらされている欧米諸国の様子を見て思い出したわけです。

日本人は政府の「外出自粛」要請を素直に受け入れているのに反して、欧米の人々は自己主張強く、(自己責任においてかどうかわかりませんが)外出していました。日本の死亡者数が少ない原因はこのことだけではありますまいが、理由の一つであることには間違いありますまい。

5. 渋谷スクランブル交差点の比較

日本の「不要不急外出自粛要請」の成果を見るために、人出の度合いを示す写真をGoogleで探しましたところ、有名な東京の渋谷スクランブル交差点の写真を見つけました。一枚は緊急事態宣言発令日の4月7日(火)の13時41分、毎日新聞社のヘリコプターが撮影してモノです。もう1枚は撮影日時は分かりませんが、同じ交差点の人出の様子を写したものです。日時、曜日など分かりませんので、厳密な比較はできませんが、少なくとも自粛要請が出された日の人出が極端に少なくなったとはいえるでしょう。

官憲による強制、罰金や拘束などの強制がないにも関わらず、政府の自粛要請を受け入れ、自らの行動を律することが出来るのはなぜでしょうか?自分がウイルスに感染するのが怖いから外出を控えたり、マスクを着用するということもあるでしょうが、やはり日本人の人に迷惑をかけたくないという気持ちがそうさせているのではないでしょうか。
戦後我々は、自己主張すべし、権利を主張すべしという教育を受けてきました。

6. おわりに

政府は無為無策で、国民の高い民度のおかげで死亡者数が少なく済んだのであって、第2波、第3波が来たときには、政府の「要請」は効果がないと、イソップ寓話「狼少年」の話をする人がいます。確かにそうかもしれません。しかし、日本人は政府の言うことに唯々諾々として従っているのではなく、マスクや外出自粛の真の意味を理解しているから、要請を受け入れているのではないでしょうか。昔、自分がまだビジネスの世界にいる頃聞いた話ですが、人の行動を変えるには、ノウハウ(方法)を教えるのみではなく、ノウホワイ(意義・理由)をも教えるべきだというのがありました。
やり方、方法を教えても、なぜそうするのか、なぜそうすべきなのかを理解していなければ、仕事のやり方は身につかないというものでした。マスクは何のためにするのか、なぜ「三密」を避けねばならないのか、これを大衆に、丁寧に説かねばならないということでしょう。
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