8月15日投開票の高雄市長補選に民進党、中国国民党、台湾民衆党から候補者

 韓國瑜・高雄市長はリコール投票の結果、台湾初のリコール市長という烙印を捺され、6月12日をもって解任、行政院は陳菊市長時代に副市長を務めた楊明州氏を代理市長に充てた。

 補欠選挙は8月15日に行われ、立候補届け出締切日の昨日(6月24日)、民進党は陳其邁・前行政院副院長、中国国民党は李眉蓁・高雄市議、台湾民衆党は呉益政・高雄市議を公認候補として届け出をすませた。民進党公認候補の陳其邁(ちん・きまい)氏については本誌で何度か紹介しているが、1964年生まれの55歳。基隆に生まれ、高雄で育ち、中山医学大学医学部を卒業後、国立台湾大学大学院では公共衛生学を学び、学生時代は1990年3月の野百合学生運動にも参加。長庚医院勤務を経て、政界に進出し立法委員となっている。2018年の高雄市長選挙で韓國瑜氏に敗れ、行政院副委員長をつとめた。

 中国国民党公認候補の李眉蓁(り・びしん)氏は、1979年に高雄市左営の眷村生まれの41歳。父親は親民党所属の高雄市議だったそうだ。中山大社会科学学部大陸研究所で修士号を取得し、2010年から3期連続で高雄市議に当選している。

 台湾民衆党は呉益政(ご・えきせい)高雄市議は、1963年に台南県生まれの57歳。台湾大学政治学科を経てコロンビア大学で修士号を取得し、旧高雄市時代に市議を2期つとめ、高雄市と高雄県が合併した後の高雄市でも市議を3期つとめている。党籍は親民党だが、柯文哲・台北市長率いる台湾民衆党から出馬する。

 呉益政氏の出馬をめぐっては親民党、中国国民党、台湾民衆党の三党結束がうまくいかなかった経緯があるそうで、中国国民党との票の食い合いになることが予想され、陳其邁候補にとっては有利な情勢展開となっているという。

—————————————————————————————–高雄市長補選、台北市長の新党が候補擁立 三つどもえの戦いに【中央通信社:2020年6月24日】https://japan.cna.com.tw/news/apol/202006240008.aspx

 (高雄中央社)8月15日に投開票される高雄市長補選に、呉益政(ごえきせい)高雄市議が昨年結成された新党「台湾民衆党」の公認候補として出馬する。同党は柯文哲(かぶんてつ)台北市長が第三極を目指し立ち上げた政党。立候補受け付けの締め切りを迎えた24日、呉氏に加え与党・民進党と最大野党・国民党の候補も届け出を済ませ、三つどもえの選挙戦が展開されることになった。

 国民党の韓国瑜(かんこくゆ)氏の解職に伴う補選。呉氏は、国民党から分裂した小政党・親民党の所属で、国民党、民衆党と野党3党連携での参戦を目指していたが、国民党が23日、李眉蓁(りびしん)高雄市議を公認候補に指名したことで決裂。民衆党の強制指名を受けることに決めたという。党籍は親民党に残す。民進党からは陳其邁(ちんきまい)前行政院副院長(副首相)が出馬する。

 呉氏は1963年生まれの57歳。台湾大政治学科卒、米コロンビア大で国際政治経済学の修士号取得。高雄県と合併前の2002年から高雄市議を務め、合併後も3期連続当選している。

 呉氏は高雄市が財政難に陥っている構造上の問題に注目を集めるのが出馬の目的だとしており、政府が地域格差是正のために税収を地方に割り当てる「中央統籌分配税款」を高雄市にさらに800億台湾元(約2900億円)多く分配してくれるなら出馬を断念して陳氏の支援に回ってもいいとの考えを示している。

(王淑芬/編集:楊千慧)

※この記事はメルマガ「日台共栄」のバックナンバーです。


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