今年も台湾のWHO加盟、年次総会へのオブザーバー参加が見送られた。人口1500人
ほどの小さな南の島国が正式加盟していて、2300万人の台湾が年次総会へのオブザーバ
ー参加さえ認められないというのは、どう考えても理不尽な話である。これこそ「格差
是正」の対象ではないか。
WHOは、医療に国境はない、健康を追求するのに差別を設けてはならないと高尚な
ことを言いながら、防疫の空白地区を自らつくっているのである。矛盾もはなはだしい。
要するに、中国の狡猾な台湾排除策を上回る知恵と努力が足りないのだ。
昨日、台湾駐日代表処の許世楷代表より、5月6日に「台湾のWHO加盟を支持する集
い」を主催したことに対して、日本李登輝友の会にわざわざ御礼のご連絡をいただいた。
台湾が防疫の空白地区となっていることは、日本にとっては少なからぬ脅威である。
今後とも、台湾がWHOへの正式加盟、あるいは年次総会へのオブザーバー参加を実現
できるよう政府や関係機関に提案し、また、日台が共同して防疫体制を構築するよう提
案していきたい。 (日本李登輝友の会事務局長 柚原正敬)
台湾のWHO加盟案は17対148で総会議題とならず
【5月15日 Radio Taiwan International】
台湾のWHO世界保健機関加盟案は記名投票の末、WHA(世界保健総会−WHOの
年次総会)の議題とならなかった。
WHAはスイス・ジュネーブで14日(現地時間)に開幕。台湾の加盟案は午前の総務
委員会で総会議題としないことになったが、午後の総会ではベリーズとソロモン諸島が
「台湾の加盟申請を議題とし、会員国全体で可否を決めるべき」、「WHO事務局は台
湾に申請資格がないと決め付け、会員国に内容を通知しない権利やWHAの議題にしな
い権利は無い」とWHO事務局を非難。中国大陸とパキスタンは総務委員会の決議を支
持した。
2対2の弁論後に他国代表が発言を求める中、ロシア代表は討論の打ち切りを要請。中
華民国台湾と国交を持つ友好国は議論を続けるよう要求したが、総会は打ち切りを決定
して議長は投票を提案した。ベリーズはすかさず記名投票を要求。
投票では台湾のWHO加盟案を総会議題とすることに賛成が17票、反対が148票で同案
を議題とすることは否決された。
アメリカ、日本、カナダなどは反対票を投じたが、アメリカ、日本、カナダ、そして
EU欧州連合を代表したドイツの衛生担当閣僚は投票後ただちに、台湾がWHOの枠組
みによる活動に有意義な参与をすることは支持するとの立場を表明した。アメリカは、
「政治的要因で台湾のWHO加盟を支持できないが、健康と衛生の見地から台湾は国際
的な衛生活動に参与すべき」と明言、日本と共に台湾のWHAオブザーバー参加を支持
した。
中華民国外交部はこの結果に不満と遺憾を表明する一方、台湾の加盟を支持した友好
国に感謝、今後も不屈の精神でWHO加盟を目指すとしている。黄志芳・外交部長は投
票前の時点で、「支持する票が一票でもあれば、“台湾”の名義でのWHO加盟申請は
正当性があることになる。」と述べ、今後も真正面からWHOのドアをノックし続ける
と強調した。
行政院衛生署の侯勝茂・署長は、「“台湾”の名義での加盟案についてすべての会員
が3時間に及ぶ話し合いをしたことは意義がある。」と一定の成果を強調した。
中華民国台湾はこれまで10年間、WHAへのオブザーバー参加を求めてきたが、中国
大陸側の妨害で実現していない。今年は初めて、「台湾」の名義での正式加盟を申請し
ていた。