的に宣して以来、台湾と国交はない。
そこで日本は台湾との関係を「非政府間の実務関係」と位置づけ、実務レベルで外交関
係などを維持するため昭和47(1972)年12月8日に外務省と経済産業両省共管の認可団体と
して財団法人交流協会を設立し、大使館機能を持つ交流協会台北事務所を台北市内に設置
した。高雄事務所は領事館としての役割を果たしている。
一方の台湾も、外交部の下に亜東関係協会を設け、日本には大使館機能を持つ台北駐日
経済文化代表処を東京に設置した。また大阪に総領事館の役割を果たす弁事処を置き、札
幌、横浜、福岡、那覇に領事館の役割を果たす分処を置いている。
昭和47(1972)年12月26日、財団法人交流協会と亜東関係協会は「在外事務所相互設置
に関する取り決め」を交わし、今に至っている。
安倍晋三総理が12月26日の靖国神社参拝後に「恒久平和への誓い」と題した談話を発表
したことを受け、交流協会台北事務所(樽井澄夫代表)はその談話をホームページに掲載
した。
靖国参拝に対して台湾は外交部報道官による「日本の政府や政治家には、歴史の事実と
教訓に向き合い、周辺国の住民の感情を傷つける行為をしないよう求める」との声明を発
表した。しかし、この声明はこれまで閣僚の靖国神社参拝に出した内容とほとんど変わら
ず、林永楽・外交部長は「非常に遺憾だ」と述べたものの、外交部が樽井代表を呼びつけ
たということもない。
それでも交流協会台北事務所としては、安倍総理の真意を伝えるために官邸ホームペー
ジにリンクさせる形で総理談話を掲載したのだろう。その措置やよし、である。下記に総
理談話を紹介したい。
安倍内閣総理大臣の談話 〜 恒久平和への誓い 〜
平成25年12月26日
本日、靖国神社に参拝し、国のために戦い、尊い命を犠牲にされた御英霊に対して、哀
悼の誠を捧げるとともに、尊崇の念を表し、御霊安らかなれとご冥福をお祈りしました。
また、戦争で亡くなられ、靖国神社に合祀されない国内、及び諸外国の人々を慰霊する鎮
霊社にも、参拝いたしました。
御英霊に対して手を合わせながら、現在、日本が平和であることのありがたさを噛みし
めました。
今の日本の平和と繁栄は、今を生きる人だけで成り立っているわけではありません。愛
する妻や子どもたちの幸せを祈り、育ててくれた父や母を思いながら、戦場に倒れたたく
さんの方々。その尊い犠牲の上に、私たちの平和と繁栄があります。
今日は、そのことに改めて思いを致し、心からの敬意と感謝の念を持って、参拝いたし
ました。
日本は、二度と戦争を起こしてはならない。私は、過去への痛切な反省の上に立って、
そう考えています。戦争犠牲者の方々の御霊を前に、今後とも不戦の誓いを堅持していく
決意を、新たにしてまいりました。
同時に、二度と戦争の惨禍に苦しむことが無い時代をつくらなければならない。アジア
の友人、世界の友人と共に、世界全体の平和の実現を考える国でありたいと、誓ってまい
りました。
日本は、戦後68年間にわたり、自由で民主的な国をつくり、ひたすらに平和の道を邁進
してきました。今後もこの姿勢を貫くことに一点の曇りもありません。世界の平和と安
定、そして繁栄のために、国際協調の下、今後その責任を果たしてまいります。
靖国神社への参拝については、残念ながら、政治問題、外交問題化している現実があり
ます。
靖国参拝については、戦犯を崇拝するものだと批判する人がいますが、私が安倍政権の
発足した今日この日に参拝したのは、御英霊に、政権一年の歩みと、二度と再び戦争の惨
禍に人々が苦しむことの無い時代を創るとの決意を、お伝えするためです。
中国、韓国の人々の気持ちを傷つけるつもりは、全くありません。靖国神社に参拝した
歴代の首相がそうであった様に、人格を尊重し、自由と民主主義を守り、中国、韓国に対
して敬意を持って友好関係を築いていきたいと願っています。
国民の皆さんの御理解を賜りますよう、お願い申し上げます。