許世楷代表ご夫妻送別会に800人が駆けつけ感謝の集い

昨日夕刻、東京・港区のホテルオークラ東京において離任が予想される台湾駐日代表
処の許世楷代表と盧千恵夫人を送る「許世楷代表ご夫妻送別会」が開かれ、政財界はじ
め全国各地から有縁の人々約800人が駆けつけ、日華議員懇談会など65団体による共催
で盛大に行われた。

 司会の南丘喜八郎(月刊「日本」主幹)の案内により、許世楷代表と盧千恵夫人が拍
手で迎えられて会場に入ると、許代表とは学生時代からのお付き合いになるという何康
夫・在日台湾同郷会会長が開会の辞で、ご夫妻のエピソードを披露しつつお二人の人柄
を紹介、なごやかな雰囲気のうちに開会した。

 許代表ご夫妻を送る言葉は、安倍晋三(前首相)、櫻井よしこ(ジャーナリスト)、
金美齢(評論家)、!)徳勲(日本中華聯合総会会長)、ジュディ・オング(歌手・女優)、
阿川佐和子(文筆業)、中川昭一(衆議院議員)の順に述べられ、それぞれに許代表の
功績と盧夫人の内助の功などをユーモアを交えつつねぎらわれ、お2人に感謝の言葉を述
べた。

 次に、許代表には小川英子・在日台湾婦女会会長、盧夫人には小田村四郎・日本李登
輝友の会会長から花束の贈呈があり、また、杉並の台湾教会に通う熱心な台湾長老教会
のクリスチャンのお2人には、羅王明珠・東京華僑婦女会名誉会長と黄宗敏・僑務委員
から記念品として革張りの聖書がプレゼントされた。

 続いて、許代表と盧夫人がそれぞれに謝辞を述べ、この4年間の思い出とともに台湾
と日本の関係がさらに密接になるよう希望している旨を述べられた。

 午後6時からはじまった送別会はまもなく7時半となり、予定を30分近く押していたが、
登壇するそれぞれの方の許代表ご夫妻を思いやる心にあふれたスピーチが感銘を誘って
いたようで、ほとんどざわつきがない。

 ここでようやく乾杯となり、服部禮次郎・交流協会会長が音頭をとって開宴となった。

 許代表ご夫妻のこの4年間の歩みをつづったDVDがスクリーンに映し出されるなか、
ご夫妻は会場を巡回して挨拶する。

 そして、宴もたけなわとなったころ、盧夫人が代表をつとめるフォルモサ婦人会の方
々がおそろいの薄いベージュ系の服装で壇上に上がり、台湾でよく歌われている「我相
信」「玉欄花」「台湾是一ヶ美麗e国家」「福爾摩莎頌」の4曲を披露した。

 ここでプログラムにはないハプニングが起こった。許代表ご夫妻を裏で支えてきた陳
銘俊特別秘書と奥様の名前が司会から呼ばれ壇上に促された。なんと奥様から陳氏に花
束の贈呈。これには許代表ご夫妻からも会場からも大きな拍手が沸き起こり、陳ご夫妻
は照れることしきりだった。会場には聞こえなかったが、押されるように壇上に上がる
間際、陳氏が小声で「いや、僕が女房に贈りたいんだ」と言った一言が心に残った。

 閉会の辞は、台湾独立建国聯盟主席をつとめた許代表の盟友でもある黄文雄・拓殖大
学日本文化研究所客員教授が述べ、最後に、藤井厳喜・拓殖大学客員教授が「台湾万歳、
日本万歳、日台共栄万歳」と三唱し、滞りなく中締めとなった。

 昨日は報道関係者も60名ほど駆けつけた。本日の産経新聞にその模様が掲載されたの
でご紹介したい。                          (編集部)


辞令なき送別会に800人 台湾の許世楷・代表送別会
【6月2日 産経新聞】

 台湾の大使館にあたる台北駐日経済文化代表処で代表を4年近く務めた許世楷氏(73)
の送別会が1日、都内のホテルで開かれた。3月の台湾総統選で馬英九氏が勝利し、国民
党が民進党から政権を奪い、許代表の退任が確実視されている。送別会は許代表の処遇
について辞令など具体的な指示がいまだない中での実施。

 会には、安倍晋三前首相やジャーナリストの櫻井よしこ氏ら約800人が駆けつけた。
日台関係60団体の共同開催で、「私のなかのよき日本」などの著者で児童文学者として
も知られる盧千恵夫人(71)ともども、許代表夫妻を送る会として開かれた。

 冒頭、安倍前首相は官房長官時代に取り組んだ日台関係の実質的強化策を披露しなが
ら、「許大使には今後も日台関係を強化していただきたい」と語った。また、「台湾は
私の生みの親。育ての親は日本。どうぞ両国がいつまでも仲良しであってほしい」と語
った歌手のジュディ・オングさんは歌声でも許氏の功績をたたえた。

 許氏の代表在任中にはノービザで渡航が可能になり、運転免許証を日台相互で承認。
日台関係は年間250万人が相互に行き来する関係にまで発展した。

 独立運動を率いた許氏は国民党政権ににらまれ、33年間台湾に戻れず、津田塾大学で
教壇に立った。その経験を生かし、代表赴任直後から雑誌「正論」など論壇でも活躍、
台湾と日本の将来について積極的に発言した。