宮崎正弘氏が「週刊朝日」で許世楷代表に辞任の真相を直撃インタビュー

「いつも前進とはいかないが、間違いなく台湾は良い方向に進んでいる」

 7月1日発売の「週刊朝日」で、評論家の宮崎正弘氏(本会理事)が尖閣諸島を巡る問
題で辞任を表明した許世楷・台湾駐日代表処代表にインタビューし、「許世楷氏が受け
た国民党の『仕打ち』」と題するレポートでその真相を伝えている。

 6月10日未明に起きた台湾の遊漁船と海保の巡視船の衝突事故については、本誌でも
繰り返して伝え、16日の許世楷代表の辞任表明についても「許世楷代表の辞任表明に
『サムライ』魂を見た」として掲載している。

 この事件を収束させるために奔走したにもかかわらず、国政に責任を持つべき立法委
員に「台奸」(売国奴)とまで罵倒されてまでその職に留まる謂れはない。許代表は「志
ある者、殺されても、辱めは受けない」として即刻辞職を表明した。まさに「サムライ」
の出処進退だ、と書いた。

 やはり、宮崎氏もこの「士可殺不可辱」に感銘してインタビューに臨み、まずこの格
言について出典や発言の趣旨について紹介している。

 また、今回の事故について、許代表が「私自身は釣魚台(尖閣諸島のこと)は台湾領
だと思う」と大使としての公式発言をしたあと、ここからが許代表らしい発言となる。
「でも、中国に対しては主権の問題を棚上げにしておきながら、日本には主権を主張す
るというのはいかがなものか」と、これまでの台湾政府の矛盾した姿勢を手厳しく批判
する。

 さらに「いちばん困っているのは昔からそこで漁をしてきた台湾の漁民たちで、まず
彼らの安全と生活を守ることが大事」として、日本との漁業協定を策定するなどの「実
務的解決」の重要性を力説している。

 許代表は台湾独立建国聯盟の主席をつとめたこともあるバリバリの運動家でもある。
6月1日に本会などがホテルオークラ東京で開催した「許世楷代表ご夫妻送別会」で放映
したDVDの中で、独立運動家だから台湾の大事さがよく分かるとも述べていたように、
大使として、台湾の生存をいかに強化すべきかを考え実行してきた。それ故、このイン
タビューでは「台日関係を強化しようと努力する人間が『台奸』なら、中国と往来して
いる人間はどう呼ぶのか」と、許代表を罵倒した外省人立法委員を非難する。

 そして、許代表自身の体験を踏まえて、「私たちが独立運動をしていた時代のように、
何か言ったらパスポートを取り上げられたり、逮捕されたりすることはない。いまの台
湾には言論の自由がある」と、許代表ら独立建国運動家たちがもたらした自由な台湾を
振り返る。恐らくこのとき許代表は、言論の自由を求めて焼身自決した鄭南榕烈士など
を思い浮かべていたのかもしれない。

 宮崎氏は、離任を控えた許世楷代表の最後の言葉として、「いつも前進とはいかない
が、間違いなく台湾は良い方向に進んでいる」と、愛国大使の面目躍如たるメッセージ
をもってこのレポートを締めくくっている。

■週刊朝日 2008年7月11日号
 定価:320円(税込)
 表紙:藤原竜也
 発売日:2008年7月1日
 http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=9522



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