許世楷代表のインタビューを「週刊朝日」が掲載

日本には中国の横暴を食い止める大きな責任がある

 昨日発売された「週刊朝日」(11月19日号)が台湾の許世楷駐日代表のインタ
ビューを掲載した。題して「台湾駐日代表・許世楷氏が中国『反日』の構造を分
析−日本には中国の横暴を食い止める大きな責任があります」。
 新任の王毅駐日中国大使や日中関係、日台関係、小泉政権、靖国問題、台湾の
憲法制定の現状などについて、慎重な表現ながら縦横に、そして率直に語られて
いる。ここにその一部をご紹介してみたい。
 それにしても、許世楷氏のプロフィールを紹介する「週刊朝日」は「シュイ・
シーカイ」とわざわざ表記している。中国語読みである。以前、朝日新聞の人物
紹介欄で登場したときも同様だった。朝日系列のメディアはそれで統一されてい
るようだ。
 しかし、7月6日の着任記者会見以来、許世楷代表は「私の名前はコー・セカ
イ(KOH SE-KAI)です」と言っている。記者に配布された資料にもそう記してい
る。代表処のホームページも「許世楷(KOH SE-KAI コー・セカイ)」と明記して
ある。
 中国大陸や韓国の人物名はそれぞれ現地の読み方を尊重する朝日メディアは、
こと台湾となると中国語読みで表記する。まさか「台湾は中国の不可分の領土」
という中国の立場を支持していることを暗に表明しているのではないと思いたい
が、親中派の朝日である。その疑いは捨てきれない。

・王毅駐日中国大使について−共産党の模範生
「王毅氏は中国共産党の文化のなかで育ち、しかも典型的な外交官僚の申し子。
信頼できる人物ということで駐日大使に起用したのでしよう。小泉さんのサプラ
イズ人事と違って、これは順当な人事ですよ。まあ、共産党の模範生が共産党文
化や官僚文化のなかではなく、まったく違う文化のなかでどこまで通用するのか、
私は興味深く見ていますけどね」

・日中関係について−どこまで日本が我慢するのか、試しているんですよ
「中国が進める東シナ海の天然ガス田の開発をめぐり、日中はいま、衝突してい
ますよね。中国は単に海底を掘っているだけではなく、日本人の心を掘っている
のです。どこまで日本が我慢するのか、試しているんですよ」
「アジアの国々はいま、中国に脅威を感じていて、アジアのなかで対抗できるの
は日本しかないと思って、日本に近寄っているのです。日本はそうした国際環境
にもっと敏感であってほしい。東アジアにおける中国の横暴を食い止める大きな
責任が、日本にはあると思います」

・日台関係について−台湾以上に親日的な国は探せない
「台湾でも90年代のはじめごろまで、国民党独裁政権下で反日的な教育がありま
した。その教育を受けた世代には、反日的なものが中国と同じように残っていま
す。
 しかし、李登輝先生が総統になり、状況は変わりました。それまでは公然と日
本語をしゃべったり、日本映画を鑑賞すれば、抑圧されました。ところが、李登
輝先生は日本文化を好きで、総統府で日本語をしゃべりはじめたのです。日本文
化を礼賛する風潮も生まれ、今では、ほとんどの大学に日本語学科ができた。若
い世代は日本の漫画、音楽、ドラマが大好きです。現存する世界各国で台湾以上
に親日的な国は探せないでしょう。
 ただ、政治は別です。72年に日本は台湾と断交し、中国に切り替えました。お
互いに大使館はなく、私たちは外務省や首相に直接掛け合えません。でも、日本
も台湾も72年当時とはずいぶん変わりました。双方の関係も、もっと変わってい
いと思います」

・台湾の憲法制定について−新憲法制定の動きが出るのは当然
「台湾の憲法は中国大陸全体を対象につくられました。日本にも憲法は米国がつ
くったという意見がありますが、仮にそうだとしても、日本を対象にしてつくら
れたものには違いない。でも、台湾の憲法は、台湾を対象にしてつくられた憲法
ではない。新憲法制定の動きが出るのは当然です」

・台日米の関係について−中国が膨張すればするほど鎖は強化されていく
「台湾の基本は、武力で中国に併合されないことです。併合されれば、台湾海峡
は中国の内海になる。そうならないことは、米国、日本にも利益です。日米間に
は日米安保条約があり、台湾と米国の間には台湾関係法がある。日本と台湾の間
には、見えない形の『防衛の鎖』がつながっていると私は思っています。中国が
膨張すればするほど、その鎖は強化されていくのです」



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