今朝の産経新聞は「自民党の外交、経済産業両部会長が、台湾の与党・民主進歩党の立法委員(国会議員に相当)とオンライン形式の会議を月内に開く方向で調整に入ったことが5日、分かった」として、1面の真ん中に「日台与党が経済安保協議」の大見出しで報じている。
共同通信や時事通信をはじめ他紙は報じていないようなので、どうやら産経新聞のスクープのようだ。「日台与党版2+2」の開催は、8月に続く第2弾となる。自民党から参加するのは佐藤正久(さとう・まさひさ)外交部会長と石川昭政(いしかわ・あきまさ)経産部会長だという。
佐藤外交部会長は「台湾政策検討プロジェクトチーム(台湾PT)」座長で、外務副大臣をつとめている参議院議員。石川経産部会長は経済産業政務官や復興政務官などを兼任した衆議院議員(4期)。国学院大学神道学科から同大大学院博士課程で神道学・宗教学専攻した後に自民党職員となり、13年つとめた後に衆議院議員となっている。
第2弾の今回は「経済安全保障や、台湾が参加を目指す環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などについて協議する」という。
8月27日の第1弾は、自民党からの呼び掛けにより、日台与党である自民党と民進党にとって初の取り組みとなる「日台与党版2+2(外務・防衛担当者協議)」がオンラインで開催され、自民党は佐藤外交部会長と国防部会長の大塚拓・衆議院議員が臨み、台湾側は、民進党本部国際部主任で安全保障問題にも造詣が深い羅致政(ら・ちせい)立法委員と立法院の外交・国防委員会委員を長期にわたり務めてきた蔡適応(さいてきおう)立法委員が臨んだ。
産経新聞は「会談では、日台の海上保安機関などによる海難救助協力や、世界保健機関(WHO)といった国際機関への台湾の参加を促進していく方針で一致。台湾と国交がある国に断交を迫るなど、中国の外交圧力に連携して対処すると申し合わせた」と報じていた。
第2弾もまた「外務・経産2プラス2は、安全保障面だけでなく経済面でも台湾が日本にとって重要であることを示し、中国への抑止効果を強化する意義を有する」と報じている。
安倍晋三・元首相は12月1日に行われた台湾の国策研究院文教基金会が主催するオンラインシンポジウムで「日本と台湾、そして民主主義を奉じる全ての人々は、繰り返し『誤った道に踏み込むな』と、訴えつづける必要がある」と強調したように、中国が誤った道に踏み込まないよう中国を抑止してゆくことが現在取りうる最善の対処法であると考えられる。「外務・経産2プラス2」もその一翼を担っている。協議の成功に期待したい。
—————————————————————————————–日台与党が経済安保協議 2プラス2第2弾、TPPも 月内で調整【産経新聞:2021年12月6日】https://www.sankei.com/article/20211205-5PKMCQUUOZNOZEUJO5V5CQBYZI/?utm_source=coins&utm_medium=push&utm_campaign=COINs
自民党の外交、経済産業両部会長が、台湾の与党・民主進歩党の立法委員(国会議員に相当)とオンライン形式の会議を月内に開く方向で調整に入ったことが5日、分かった。経済安全保障や、台湾が参加を目指す環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)などについて協議する。複数の関係者が明らかにした。
自民党から参加するのは佐藤正久・外交部会長と石川昭政・経産部会長。自民党と民主進歩党は8月に「日台与党間外務・防衛2プラス2」を開き、佐藤氏と大塚拓・国防部会長(当時)らが出席した。今回の協議は「2プラス2」の第2弾となり、幅広い分野で日台間の協力を進めることをアピールしたい考えだ。
台湾をめぐり政府は経済安保上重要となる先端半導体の生産基盤強化に向け「先端半導体生産基盤整備基金」を新たに設け、令和3年度補正予算案で6170億円を計上。半導体世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)が熊本県に新設する工場が最初の認定対象となり、基金から約4千億円拠出する公算が大きい。
ただ、日台間には外交関係がなく、政府間の公式協議で突っ込んだやり取りを行うことが難しい。このため、政党間協議で日台間の連携を強化したい考えだ。日本側は台湾を「わが国にとって基本的価値を共有し、緊密な経済関係を有する極めて重要なパートナー」と位置付けており、台湾側は政党間協議でさらに前向きな反応を引き出すことを目指す。
8月の与党外務・防衛2プラス2では、台湾への軍事的圧力を強める中国への対応を議論し、日台間で緊密に連携していくことを確認した。外務・経産2プラス2は、安全保障面だけでなく経済面でも台湾が日本にとって重要であることを示し、中国への抑止効果を強化する意義を有する。
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