AIT警備のために米国は海兵隊を派遣するのではないかと取り沙汰されていて、軍服を着用せず、武器も軽装備にとどめる15人が常駐するのではないかという報道もされたことがある。
事の発端は2017年2月、米国のシンクタンク「Global Taiwan Institute(GTI)」が開催したトランプ大統領の対台湾政策に関するシンポジウムの席上、スティーブン・ヤング元AIT台北事務所長がAITのビルには海兵隊が配備され、これは米国による台湾重視の「具体的な象徴だ」と表明したことによる。
しかし、国務省が国防総省に要請していた海兵隊の配備について、国務省は9月13日、資源の制約があるため、現庁舎と同様の保安体制を取るとして海兵隊の派遣が見送られたと発表したという。毎日新聞の記事を下記に紹介したい。
しかし、米国は2005年から軍服こそ着けていないものの、陸・海・空から2人ずつ防衛駐在武官が駐在しているとも言われる。
日本は安全保障関係の重要度に応じて在外公館と国連機関に防衛駐在官を派遣しているが、オーストラリア、インド、韓国、中国、ロシアの3名に比し、駐米大使館には陸・海・空から2人ずつ6人を派遣している。つまり、米国がいかに台湾を重要視しているのかこの一事に端的に現われている。
ちなみに、日本台湾交流協会台北事務所には防衛関係業務を担当する4代目の主任1名(元陸将補)が勤務しているだけだ。なんともお寒い限りだ。
————————————————————————————-米国防長官 台湾への海兵隊派遣を見送りへ【毎日新聞:9月14日】
【台北・福岡静哉】米CNNテレビ(電子版)は13日、マティス米国防長官が、台湾にある対台湾代表機関、米国在台協会(AIT)台北事務所に、警護のため海兵隊員を駐在させることを見送ったと報じた。国務省が国防総省に駐在を要請し、「一つの中国」原則を掲げる中国が強く反発していた。
米台に外交関係はなく、台湾では民間組織のAIT事務所が大使館の役割を担う。米国は世界各地の大使館に海兵隊を常駐させるが、台湾では控えてきた。CNNによると、年内にAIT新庁舎が供用開始されるのに合わせ、国務省は早ければ10月に海兵隊を台湾に派遣することを計画していたという。
米中両政府は1972年の共同声明で「中国は全ての米国軍隊及び軍事施設は台湾から撤去されなければならないとの自らの立場を重ねて表明した」と明記。これを受けて米国が駐留米軍を台湾から撤退させた経緯がある。