2019年の国防権限法は5月24日、下院が下院版法案を賛成多数で可決した。同日には、上院の軍事委員会が上院版法案を可決している。
6月6日、上院の軍事委員会は同軍事委員会で可決された国防権限法案を公表したという。中央通信社の記事を下記に紹介したい。
折しも台湾では、6月4日から8日まで、中国の侵攻を想定した軍事演習「漢光34号」を実施しているさなかにあり、上院法案には「漢光演習」など台湾の軍事演習に米軍が参加することを推進するよう米国防長官に要請する内容も盛り込まれていることから、米国上院の軍事委員会はあえてこのタイミングで公表したようだ。さすが米国だ。中国は米国の圧力をひしひしと感じているに違いない。
6月12日には米国在台湾協会(AIT:American Institute in Taiwan)台北事務所の新庁舎落成式も控えている。新庁舎の護衛は、海兵隊所属の大使館警備部隊15人が常駐配備されると報じられており、それが米国による台湾重視の「具体的な象徴だ」(スティーブン・ヤング元AIT台北事務所長)という。
————————————————————————————-米軍の台湾軍事演習への参加促す=米上院軍事委可決の国防権限法案【中央通信社:2018年6月7日】
(ワシントン 7日 中央社)米上院軍事委員会は6日、先月24日に同委員会で可決された上院版の2019会計年度の国防権限法案を公表した。法案の1243条では、台湾が中国大陸軍の侵攻を想定して年に1度行う定例訓練「漢光演習」など、台湾の軍事演習に米軍が参加することを推進するよう米国防長官に要請したほか、米軍訓練への台湾の参加を促進すべきだとされた。また、米軍病院船の台湾寄航も検討するべきだと提言した。
同条文では、米台の実務関係のあり方を定める「台湾関係法」と台湾への武器供与に終了期間を設けないことなどを公約した「6つの保証」を前提に、米国は安全保障における台湾との連携関係を強化すべきであり、台湾の自衛能力向上を支持するとする立場が示された。
台湾の海外からの防御用兵器調達を支援するべきだとする内容も盛り込まれた。米国から台湾への武器供与については、台湾からの要求に対し適時回答・審査を行い、台湾への武器供与の予測性を高めるべきだとされた。
同法は、米国政府が国防総省に対して予算権限を与える法律で、年度ごとに制定される。同法案は今後、上院本会議で審査される。上下両院の法案の内容が異なる場合、すり合わせが行われ、両院で再可決された後、トランプ大統領の署名を待って成立する。
(江今葉/編集:楊千慧)