習近平・中国共産党総書記は、昨年10月の第19回中国共産党大会の政治報告で、「台湾問題の解決」による「祖国の完全統一」実現は、全中国の願望、中華民族の根本的利益であると述べた。そして国家分裂の歴史の再演は許されないとし、台湾独立を拒否した。さらに去る3月20日、全人代閉幕の演説では、祖国分裂の試みは必ず失敗に終わり、「人民と歴史の懲罰を受ける!」と断言した。しかし、台湾の人びとは、中国による吸収併合に反対だから、中国の「祖国統一」の野望達成は非平和的手段によるしかない。
一方、アメリカでは昨年12月12日、トランプ大統領が「国防授権法」に署名した。これには、米国と台湾の軍艦の相互訪問の検討、高官の交流、米国が行う軍事演習に台湾軍を招待することが盛り込まれていた。実はこの署名直前の12月8日、在米中国大使館の李克新公使が、米国軍艦の台湾寄港は「反国家分裂法」適用事項だとし、それを実行すれば、中国は「武力による台湾統一を実現する」と述べていた。
しかし、12月18日に発表された「国家安全保障戦略」で、トランプ政権は「インド太平洋地域」の重視を打ち出し、米日豪印の4ヵ国の協力体制構築を掲げ、台湾との強固な結びつきを維持するとし、米国の台湾関係法の履行に言及した。さらにトランプ大統領は、本年3月16日に台湾旅行法にも署名した。これで、あらゆるレベルの米国および台湾の高官の相互訪問と会談への道が拓かれた。
また5月23日、米国防総省はリムパック(環太平洋合同演習)への中国の招待を取り消し、さらに6月2日、シンガポールでの「アジア安全保障会議」でマティス国防長官は、中国による南シナ海の軍事化を厳しく批判した。しかし、何雷中国軍事科学院副院長は「南シナ海の島嶼と周辺海域は中国の神聖な領土」と述べ、「他国の口出しは全て内政干渉」と反論した。
以上のように、台湾を取り巻く米中の対立は激化の様相にある。日本は米国の戦略に組み込まれているが、台湾および南シナ海の平和と安全は、日本の繁栄と安定に死活的な意義をもつのだから、むしろ積極的にアメリカの期待に応えるべきである。
本会による台湾を含むウエストリムパック(環西太平洋合同演習)の提言は、日米台連携強化への道である。