第3回台湾李登輝学校研修団がいよいよこの29日から始まりますが、先週末、主催する
群策会から最終的な日程表をお送りいただいた。
この台湾の李登輝学校はご存じのように群策会理事長でもある李登輝前総統が校長をつ
とめられ、教頭は群策会秘書長の黄昆輝先生(元国立台湾師範大学教授、元総統府秘書長
)が務められています。
今回はこれまでと違って、野外視察から入ります。それも台北ではなく高雄から。台南
ではまず台湾新幹線の燕巣車庫の視察から入り、その後、台湾・李登輝之友会全国総会の
黄崑虎会長のご自宅を訪問します。建てられてから80有余年を経る「四合院造り」といわ
れる台湾の伝統的な家だ。広さは優に1,000坪は超す。池があり中庭があり、果樹園の裏山
まであるという家で、そこの中庭で開く晩餐会に招待されています。
その後、八田與一の烏山頭ダムや奇美博物館、嘉義の旧群策会役所などを視察しつつ北
上し、10月31日の夕方に渇望学習センターに着き、そこで始業式が行われます。
11月1日からが本格的な講義が始まります。もちろん、すべて日本語による講義で、今回
の講師陣も豪華だ。順に講師とテーマをご紹介します。
1、呉 密察先生(台湾大学歴史学部助教授、東大博士課程修了)
台湾の歴史を知る
2、林 明徳先生(中央研究院近代史研究所兼任研究員、東大博士課程修了)
台湾「主体性」の追求
3、張 炎憲先生(國史館館長、東大博士課程修了)
李登輝先生と台湾の民主化
4、黄 昭堂先生(台湾独立建国聯盟主席、昭和大学名誉教授、東大博士課程修了)
台湾と日本の安全保障
5、李 鴻禧先生(台湾大学法学部名誉教授、東大博士課程修了)
台湾の憲法制定運動
6、鄭 清文先生(作家)
台湾の文化と文学を知る
7、羅 福全先生(亜東関係協会会長、早稲田大学修士課程修了)
総合座談講師
8、李登輝先生(前総統、京都大学留学)
テーマは未定
たいへん充実した研修になりそうです。
この研修に先立って去る10月18日に開かれた「茶話会」で、許世楷・台北駐日経済文化
代表処代表が研修生のために講話をしてくださいました。
今回の団長は石川台湾問題研究所代表で高座日台交流の会事務局長の石川公弘氏(本会
理事)、副団長が伊藤英樹氏(第1回参加、司法書士)であることはご報告しましたが、石
川団長がこの茶話会の模様を自身の「ブログ台湾春秋」で報告されていますので、許世楷
代表の講話の内容はそこからご紹介します。
なお、石川団長はこのブログで日程の説明もされているのですが、変更されているとこ
ろもありましたので割愛させていただきました。 (編集部)
【ブログ台湾春秋 10月19日記より】
李登輝学校入学の記
石川台湾問題研究所代表 石川 公弘
第3回台湾李登輝学校研修団の初顔合わせを兼ねた「茶話会」が、10月18日(火)午後2
時30分から、東京・新宿の文京区民センターで開催された。今回の研修スケジュールは、
10月29日から5泊6日、前半は野外研修、後半は座学が中心である。
研修団参加者は総勢約40名、防衛問題の専門家もいれば、台湾語研究の権威もいる。会
社役員、地方議員、その他多士済々である。台湾に特別の関心をもつ女性も数人いる。李
登輝さんが発表された『台湾の主張』を読んで、ファンになったという人が多い。私は歳
のせいか、研修団長にさせられてしまった。
この茶話会には20名が参加し、私が団長として簡単な挨拶をした後、それぞれの人が自
己紹介をしていたところへ、許世楷駐日大使が李文化部長を伴って来会され、次の要旨の
挨拶をされた。
戦後、長い間独裁政権の下に苦しんでいた台湾は、1990年代になって民主化され、世界
の歴史の主流に入ることができた。独裁国家中国は、経済的に発展しているものの、世界
の歴史の流れの中では逆流である。日本は1945年以来、世界歴史の主流である民主化の道
を歩んでいる。台湾も今、自信をもって民主化の道を歩んでいる。逆流することはありえ
ない。
中国はよく日本のことを「軍国主義化」と非難するが、私はそれを逆に批判している。
1945年以来、日本は一度も戦争をしたことはないし、戦争をすると言ったこともない。平
和国家に徹している。
他国を軍国主義と非難する中国が、逆に何回も周辺の国と戦争をしている。中でもベト
ナムを懲罰するとして仕掛けた戦争は、完全に侵略戦争である。台湾に対しても、最近「
反国家分裂法」を成立させて恫喝している。
日本はアジアにおいて中国と対抗できる唯一の国である。靖国神社を中国が問題にする
のは、外交カードとしてであって、本心は日本を自分たちより優位に立たせたくないので
ある。
日本の財界人で、中国の言い出している東アジア共同体に、賛意を表す人がいるが、ど
うかと思う。中国の本心はアメリカ外しであり、日本の孤立化である。そのために、韓国
を反米反日にし、更にその輪の中へ台湾を引き込もうとしている。先日、靖国神社へ抗議
行動に来た台湾の高金素梅立法委員は、帰国早々、北京へ出向いている。これなども、日
本孤立化の一環として彼女が動いている証拠であろう。
親日的な台湾日本語世代も、七十代でこれからは段々と数が少なくなる。それに代わる
ものは、台湾の大学で日本語を学ぶ学生である。台湾では日本語を学ぶ学生が英語に次い
で多い。今後の日台友好は、ここを拠点に進めるのがよいと思う。