台湾が守るバーシー海峡の自由航行−台湾李登輝学校研修団感懐(4) 【石川公弘】

今回の第3回台湾李登輝学校研修団(10月29日〜11月3日)の団長をつとめていただい
た石川公弘理事(石川台湾問題研究所代表、高座日台交流の会事務局長)が、11月6日から
自分のブログ「台湾春秋」でその感想をつづられています。
 感想は5回に分けられ、「李登輝さんと夕焼け小焼け」(11月6日)、「李登輝校長修業
式の挨拶から」(11月7日)、「台湾戦後世代の日本観」(11月8日)、「台湾が守るバー
シー海峡の自由航行」(11月9日)、「中国は台湾の李登輝に学ぶべし」(11月11日)とな
っていて、それぞれに的確に研修内容がわかるようになっています。
 今回はその4回目の感想をご紹介します。               (編集部)

■ブログ台湾春秋 http://blogs.yahoo.co.jp/kim123hiro/archive/2005/11/6


台湾が守るバーシー海峡の自由航行−台湾李登輝学校研修団感懐(4)

                    第3回台湾李登輝学校研修団団長 石川 公弘

 李登輝学校の受講者に大きな感銘を与えた講義に、黄昭堂・台湾独立建国聯盟主席の「
台湾と日本の安全保障論」がある。

 台湾の民主化は、外からの圧力と内からの人民の反抗がうまく相まって成功した。外か
らの圧力は、中国国民党の独裁に反抗し、パスポートを取り上げられながらも、決死の覚
悟で民主化に尽力した台湾の留学生など多くの人々の力があった。その中核にいたのが、
現台湾独立建国聯盟の黄昭堂氏である。清濁併せ呑む人柄は、難しいまとめ役にぴったり
だった。

 台湾人民がその志を得たとき、李登輝前総統を「建国の父」と呼ぶなら、黄昭堂氏は「
建国の兄」ぐらいに位置づけるだろうと、私は思う。

 先の総統選挙で、台湾の人々は北から南まで手をつなぎ台湾人の団結を誇示した。陳水
扁総統の再選に大きな力を与えた228手護台湾運動である。その総指揮官も務め見事に
それを成功させたのも黄昭堂氏である。この人の話、談論風発、軽妙酒脱、李登輝さんの
悪口を言って、そっと後ろを見るところなど、下手な噺家顔負けだ。

 黄昭堂先生はまず、前回の立法委員選挙における与党の敗北から話を始めた。絶対勝つ
と思っていたが、やはり与党側に気のゆるみ、民進党と台湾団結聯盟の票の食い合いの中
で、陳水扁氏が独自色を出そうとあせり、本来は台湾団結聯盟が言うような主張を強調し
てしまった。それを見てアメリカがあわて、慎重な日本までが選挙干渉ともいえるような
動きにでた。そうした動きに、選挙民が敏感に反応したことなどを、敗因に挙げられてい
た。

 黄昭堂氏は、日本と中国は、現在も将来も友好国にはなり得ないだろうと言う。両国の
交流には友情などない、あるのは国益のみだと言う。スローガンが先走っている。岡倉天
心は「アジアは一つ」と言ったが、アジアには多様性がありすぎる。開発の遅れた国にO
DAを出しているが、これは多くの場合、汚職につながっている。本来、釣道具を与えて
釣を教えなければならないのに、魚を与えたら釣をする人はいなくなるものだ。

 1970年代、東大に留学していたころ、研究室で戦前の新聞論調を調査したことがあった
。1940年から1941年の朝日新聞には、「日本は何をぐづぐづしているのだ」という論調ま
であった。新聞が戦争を煽った部分もあり、それを国民も支持したのだ。一部の者の責任
というわけにはいかないだろう。中国が怖くて、東南アジアの人々は沈黙を決め込んでい
るが、先の戦争における日本の役割は、功罪相半ばしているのではないか。多くの植民地
が独立できた。戦争だから当然、人は殺す。しかし日本軍が特に残虐だったとは言えない。

 武士道は日本の道徳論とも言うべき存在だが、戦国時代でも天守閣が炎上すれば、それ
で戦いは終結した。それ以上、子や孫を殺す風習は日本にはない。中国の民族性は、強者
をくじくのでなく、弱者をくじくにある。弱みや隙を見せれば、尖閣列島ぐらい上陸して
くるかもしれない。

 台湾と日本は、アメリカとの連携を強めなければならない。日米関係が怪しくなるのは
、台湾としても困る。しかし、台湾の日米に対する、特に日本に対する重要性も認識して
もらわなければならない。台湾は、いまバーシー海峡を守っている。ここを自由諸国の艦
船が自由に航行できるのは、台湾が守っているからである。フィリピンもあるが、あの国
には作戦能力のある軍用機は3機ぐらいしかない。

 もしも台湾が中国に領有されたたら、台湾海峡はもちろん、バーシー海峡まで中国の内
海となる。現在このバーシー海峡を、1日に日本関係の大型船300隻が航行し、日本経済を
支える物流の70%、2億トンの物資を運んでいる。

 中国がこれに何らかの規制を加えたら、日本の繁栄は完全にストップしてしまうだろう
。現在の物流の30%をカットされたら、日本経済のレベルは戦前の水準に転落してしまう
というデータさえある。正にバーシー海峡は、日本経済の喉元である。

 台湾の重要性と、日米台の連携がいかに必要かを痛感する講義であった。

                     (11月9日付「ブログ台湾春秋」より転載)


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