神戸市会代表団が「台湾WHO・ICAO参加支持の意見書」を衆参両院議長に手交

 3月25日、兵庫県議会(長岡壯壽議長)は2月定例会最終日の本会議において「台湾のWHO年次総会オブザーバー参加を求める意見書」を全会一致で可決し、翌26日には、神戸市会が「台湾の世界保健機関及び国際民間航空機関へのオブザーバー参加を支持すること等を求める意見書」を市議全員が賛成する69対0で可決しました。

 兵庫県議会の意見書可決は産経新聞も報道しましたが、神戸市会の意見書可決の報道は少なくともネットでは検索できず、地元紙も一般紙も報じていないようで、どうも本誌だけが報じたようです。

 それはともかく、この意見書は、2月定例会開催中の3月10日、中華民国留日神戸華僑総会の陸超会長が、外海開三(そとみ・かいぞう 維新)、川内清尚(かわうち・きよなお こうべ市民連合)、藤本浩二(ふじもと・こうじ 公明)、上畠寛弘(うえはた・のりひろ 自民)の4市議を紹介議員として請願したことに基づき、全会一致で可決したことから「神戸市会議員全員」が提出者となり、安達和彦議長名で衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、外務大臣、厚生労働大臣、国土交通大臣、内閣官房長官宛に送ることになっていました。

 驚いたことに、神戸市会の安達和彦議長と紹介議員の上畠寛弘・市議、坊恭寿(ぼう・やすなが 自民)市議ら代表団は4月1日、衆参両院議長公邸を訪問し、大島理森・衆院議長と山東昭子・参院議長に直接、意見書を手渡したそうです。

 下記に、神戸市会が可決した意見書とともに、中央通信社の記事をご紹介します。

 神戸市会が意見書を可決した3月26日は、奇しくも、米国のトランプ大統領が「台北法」こと「台湾同盟国際保護強化イニシアチブ法」(TAIPEI Act:Taiwan Allies International Protection and Enhance-ment Initiative Act)に署名して法案を成立させた日です。

「台北法」では台湾が国際機関へ加盟したりオブザーバー資格で参加したりできるよう、大統領が国際社会に働きかけることも促していて、米国のポンペオ国務長官は早速、3月30日の電話記者会見で「国務省は同法を順守し、台湾がWHO総会でしかるべき役割を得られるよう全力で支援する」と表明したそうです。

 台湾は、世界保険機関(WHO)や国際民間航空機関(ICAO)、国際刑事警察機構(ICPO)の年次総会などへのオブザーバー参加も中国の妨害でままならず、とても不公平な扱いを受け続けています。兵庫県議会や神戸市会に続き、地方議会では同様の意見書をまとめようという動きが広がっています。

 日本政府は2002年(平成14年)から米国とともに台湾のWHO年次総会のWHAへのオブザーバー参加を支持していますが、日本はこの地方議会の意見書可決を梃子(てこ)に、米国とともに台湾がこれらの国際機関に参加できるよう全力で支援するよう願っています。運命共同体の日台の国益はほとんど一致し、台湾のためは日本のため、日本のためは台湾のためです。

◆台湾の世界保健機関及び国際民間航空機関へのオブザーバー参加を支持すること等を求める意見書提出の件 https://www.city.kobe.lg.jp/z/shikaijimukyoku/giann_etc/r2/1-2teireishikai.html

—————————————————————————————–「台湾のWHO参加へ支持を」 神戸市会、意見書を衆参両院議長らに提出【中央通信社:2020年4月3日】https://japan.cna.com.tw/news/apol/202004030002.aspx

 (台北中央社)神戸市会の安達和彦議長は1日、台湾の世界保健機関(WHO)などへのオブザーバー参加について、国に支持を求める意見書を衆参両院議長に手渡した。意見書は先月26日、市議69人全員で提案し、全会一致で採択された。

 意見書では、台湾がWHOに参加できていないことで地理的空白が生まれていると指摘。台湾には2万人以上の日本人が在留し、日台の往来人口は昨年700万人を超えたことに言及し、台湾の不参加は「日本だけでなく全世界の人々の健康を脅かしかねない」と訴えた。同時に、国際民間航空機関(ICAO)への台湾のオブザーバー参加支持も合わせて求めた。

 安達議長は1日、衆参両院議長公邸を訪問。安達議長によれば、大島理森衆院議長は新型コロナウイルスに関する台湾の防疫対策を評価し、外務省や国土交通省など関係官庁に伝えることを約束した。山東昭子参院議長は、東日本大震災などで台湾から寄せられた支援に謝意を示し、全参院議員と意見書を共有すると述べたという。

 意見書は内閣官房長官や国土交通相宛てにも提出した。

(編集:名切千絵)

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