台湾の命運を決すると言っても過言ではない総統選挙と立法委員選挙の投開票日まで、
あと10日に迫った。昨日(1月3日)、「中国時報」など大手メディアが総統選挙の最終世
論調査を発表した。
なぜ最終かというと、台湾では「総統・副総統選挙罷免法」と「公職選挙罷免法」とい
う法律で、投票日の10日前から選挙投票日の投票時間が終了する午後4時まで、候補者また
は選挙に関する世論調査の資料を報道・流布・論評・引用が禁じられているからだ(「政
党および何人も投票日の10日前から投票終了時刻まで、いかなる形式を以ってしても候補
者や選挙に関する世論調査資料の発表、および報道や流布、評論、引用をしてはならない」)。
規定に違反した場合は50万元以上500万元以下(約127万〜1,270万円)の罰金が科される。
ただし、調査すること自体は許されている。
3日発表の世論調査によれば、中国国民党寄りの台湾大手日刊紙「中国時報」は、中国国
民党の馬英九候補の支持率:39.5%、民進党の蔡英文候補:36.5%、親民党の宋楚瑜候補
は5.8%だったとしている。
ちなみに、同紙が12月22日に発表した世論調査では、馬氏:42.3%、蔡氏:37.1%で5.2
ポイント差、12月27日の発表では、馬氏:41.6%、蔡氏:36.8%で4.8ポイント差だったか
ら、蔡氏が急追して3ポイント差まで縮め肉迫してきたと言えよう。
やはり中国国民党寄りの大手日刊紙「聯合報」による調査では、馬氏が44%、蔡氏は36
%で8ポイント差と発表しているが、民進党の調査では蔡氏が馬氏を1ポイント差でリード
していると発表している。
いずれにせよ、一時は7ポイントから8ポイントほど蔡氏を引き離していた馬氏だが、11
月以降は5ポイント以内の攻防が続き、その差がさらに縮まって混戦に拍車をかけている状
況だ。
ただし、以前から指摘されているように、馬氏と支持層が重なる宋楚瑜氏への投票率が
選挙結果を左右しかねず、また昨日になって、海運・航空の大手、エバー・グリーン・グ
ループ(長栄集団)の張栄発総裁は蔡氏が唱える「台湾コンセンサス」について「台湾の
独立を講じるもので、自分としてはそれを認めない」との考えを表明し、事実上、中国国
民党支持を表したことで選挙戦に少なからぬ影響を与えそうだ。
ちなみに、台湾の有権者は日本と同様に満20歳以上で、その確定数は1月10日に中央選挙
委員会から発表されるが、総統選挙の有権者数は1809万255人となる見通しで、2008年の前
回よりも約77万人増えるという。