機関がともに、設立して初めてその名称を変更したからだ。日本は交流協会から「日本台湾交流協
会」へ、台湾は亜東関係協会から「台湾日本関係協会」へ変更した。正名と言ってよい。
日本は1972年9月29日に中華人民共和国と国交を結び、一方的に台湾の中華民国と断交したもの
の、日本の対台湾の民間窓口として「財団法人交流協会」(現在は公益財団法人)を1972年12月8
日に設立。
45年目を迎えた本年1月1日、正式に「日本台湾交流協会」(英語名:Japan-Taiwan Exchange
Association)と名称を変更し、台北事務所も高雄事務所も「日本台湾交流協会台北事務所」「日
本台湾交流協会高雄事務所」とそれぞれ改称している。
これを受け、対日本の民間窓口として1972年12月2日に設立された「亜東関係協会」も、45年目
にして名称を「台湾日本関係協会」(英語名:Taiwan-Japan Relations Association)」に変更した。
5月17日に台湾日本関係協会で行われた名称変更除幕式には、日本台湾交流協会台北事務所から
沼田幹夫・代表、花木出・副代表、浜田隆・総務部長が出席した。
沼田代表はユーモアあふれるエピソードを交えつつ、「今回の名称変更は、正に名称を実態に合
わせ、名実ともに日台の架け橋として足を踏み出す歴史的な一歩」と挨拶し、名称変更を高く評価
した。
それにしても、この挨拶は意味深長でもある。含蓄のある表現と言ってもよい。名称を実態に合
わせるという伝でいけば、中華民国という国号も実態に合わせて台湾に変更したらよいということ
を暗に指し示しているのではないかとも受け取られるからだ。
1月3日に行われた「日本台湾交流協会台北事務所」のプレート除幕式で、亜東関係協会の邱義仁
会長も、名称変更の意義について「単なる改名を超えた深い意義がある」と述べ、亜東関係協会の
名称変更を示唆したことを思い出させる、沼田代表の挨拶だ。
日本台湾交流協会台北事務所のホームページから、その全文をご紹介したい。
◇ ◇ ◇
本日は、台湾日本関係協会の新名称除幕式にお招きいただき,大変光栄に存じます。まず,この
場をお借りして,本名称変更に携われた全ての関係者の皆様のご尽力に対し,心から敬意の意を表
したいと思います。
ご承知のとおり,我々交流協会は,今年1月より「日本台湾交流協会」として新たなスタートを
切りました。名称変更以前は,「交流協会」という名称の曖昧さから,「結婚相手を紹介して下さ
い」との問い合わせの電話がかかってくることもありました。それほど認知度が低かったというこ
とですが,幸いなことに名称変更を機に報道関係者の皆様にも大きく報じて頂いたお陰で,協会の
存在を皆様に認識していただく契機となりました。
亜東関係協会もこれまで同様の問題を抱えていたことと思います。「アジアの東」との名称か
ら,ハワイとの関係を担う協会だと勘違いした人もいると伺ったこともあります。今回の名称変更
は,正に名称を実態に合わせ,名実ともに日台の架け橋として足を踏み出す歴史的な一歩であると
思います。
日台双方の対外窓口機関が共に45年ぶりに名称変更に踏み切った本年は,正に日台関係の歴史に
おいて一里塚の意義を持つ重要な年です。日台関係は確実に発展してきました。同時に,日台双方
の努力と協力なくして将来の発展は望めません。様々な問題に直面し,共に解決に向け協力,努力
する時,初めて新しい段階に入ることが出来ます。本名称変更を一つの契機に,日台で心一つに更
に努力を重ね,世界にも稀に見る友情の関係を共に築いていきたいと思います。
最後に,台湾日本関係協会の新たな船出を心から祝福するとともに,日台双方の関係者の皆様の
更なるご活躍を祈念し,私からの挨拶とさせて頂きます。ありがとうございました。