本誌で紹介したように、火災で焼失した沖縄県那覇市の首里城の復元に向け、台湾はベニヒノキ5本を日本に無償提供する。当初は、7月4日に游錫●・立法院長らと与那国島からフェリーで台湾入りした日華議員懇談会の古屋圭司会長らが5日に宜蘭県内で寄贈式が行われる予定だったが、前日に急きょ中止が決まった。(●=方方の下に土)
その後、台湾側は日本側と調整を続け、8月1日に外交部がベニヒノキ5本を提供することを決めたと発表、今後は「台湾日本関係協会」と「日本台湾交流協会」が寄贈に関する目録に調印し、その後輸出に向けた手続きが進められるという。
7月の寄贈式中止の理由は不明だが、当時、八重山日報は「玉城デニー知事が訪中し、中国ナンバー2の李強首相と面談を果たしたその日、台湾から首里城再建に向けて、建材として台湾紅ヒノキが提供されることになっていた。ところが、台湾側からの連絡で式典は中止になった。(中略)玉城氏の中国重視の言動と無関係ではないとの憶測を呼ぶ」(コラム「金波銀波」)と書いていた。
玉木デニー知事の言動が原因だったのかどうか、理由は不明だという。しかし、日本の知事として台湾からの善意を踏みにじるような言動を慎むべきは当然のことだ。
—————————————————————————————–台湾、首里城再建にベニヒノキ5本提供へ 20年に人工林で間伐【中央通信社:2023年8月1日】https://japan.focustaiwan.tw/society/202308010004
(台北中央社)外交部(外務省)は1日、火災で焼失した沖縄県那覇市の首里城再建のため、人工林で間伐されたベニヒノキ5本を提供することを決めたと発表し、早期に復元されることを期待するとコメントした。
外交部によると、火災前の首里城の木造建築に台湾のヒノキが使われていたことから、日本側からベニヒノキの提供に関して打診があったという。台湾では天然林の伐採は禁止されているが、人工林では定期的に間伐が行われ、間伐された木は貯木場で保存される。日本に贈られるのは、2020年に間伐された3.86立方メートル分だとしている。
同年の人工林ベニヒノキの生産量は256.98立方メートルで、国内のベニヒノキ市場や環境保護への影響はないと強調。今後台日双方の窓口機関「台湾日本関係協会」と「日本台湾交流協会」が寄贈に関する目録に調印し、その後輸出に向けた手続きが進められると説明した。
外交部は、日本政府が21年、台湾に対して新型コロナウイルスワクチン約420万回分を提供したことに触れた上で、今回ベニヒノキを提供して首里城再建の手助けをすることは、台日双方の深い友好関係を示すだけでなく、助けが必要な時にお互いが手を差し伸べる「善の循環」の表れだとした。
(黄雅詩/編集:齊藤啓介)
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