松下泰士・元自衛艦隊司令官が台湾セミナーで有事法制の不備などを指摘

2月21日、日本李登輝友の会は元海上自衛隊自衛艦隊司令官の松下泰士(まつした・やすし)を講師に第103回・台湾セミナーを文京区内で開催した。

講演は、11月7日の高市総理の「存立危機事態」発言に対する中国の反応から憲法改正案の提示に至る幅広い内容だったが、随所にわかりやすい譬えを交え約90分に及んだ。

周知のように、米国は今年1月3日にベネズエラ大統領を拘束する斬首作戦を成功させ、1月23日には戦争省(国防総省)が国家安全保障戦略に呼応する「国家防衛戦略」を発表。

一方、中国の国防部は1月24日に中央軍事委員会の制服組トップの張又侠・副主席と委員の劉振立・参謀長を規律違反で調査と発表。

これで7人構成の委員会は統帥権を持つ習近平・主席と張昇民・副主席の2人となり、中央軍事委員会に軍人が一人もいないという異例の事態となった。

このような米国や中国の動きについて、松下氏は習近平の野心を過小評価してはならいという米国の中央情報局(CIA)の見解を紹介しつつ、中国が2027年に台湾を侵攻する可能性は高くなったと述べた。

また、有事の際の事態認定について、現状規定の手続きを経ていては間に合わない可能性が高いのではないかと疑問を呈するとともに、自衛隊は有事を前提にした法制になっていないと指摘し、自衛隊を軍隊とするなら軍法会議を設置する必要があると述べた。

改憲案にも言及し、第9条には、戦力を保持することとともに「権益拡張の手段としての戦争を放棄」と書けばよいのではないかと提案。

さらに、現状では台湾有事に際して自衛隊は果たして戦えるのかというと、戦場での不法行為を裁く特別裁判所が設置されていないままでは難しく、やはり戦える軍隊にするために軍法会議の設置は必要となるとも指摘。

松下氏は抑止力について「中国とって日本は恐い国と思われていて、日本に目覚められると困ると思っているのではないか」と述べ、米国で行われた野球のワールドシリーズで日本人選手は肩を壊しても臨む気概を見せたが、日本人にはこういう気質があることが実は中国への抑止力になっているのではないかと指摘し、体験的にも中国を刺激するなという考え方は止めた方がよいと強調した。

質疑応答も活発に行われ、原子力潜水艦についての質問には、日本は持つべきだと思うが、オーストラリアを例に乗組員や艦長の教育期間についてはあまり触れられない現状を指摘するなど、充実したセミナーとなった。


「中国の脅しに怯むな」台湾有事に現実味 日本李登輝友の会が講演会【世界日報:2026年2月22日】https://www.worldtimes.co.jp/global/taiwan/20260222-206242/

日台の交流を促進する民間団体「日本李登輝友の会」は21日、都内で台湾を取り巻く安全保障環境をテーマに講演会を開いた。

登壇した元海上自衛隊自衛艦隊司令官の松下泰士氏は、1)米国の一国主義、2)中国の国内不安、3)ロシアによるウクライナ侵略──を理由に、中国が227年末までに台湾侵攻する可能性があると指摘した。

習近平中国国家主席がこのほど、中国人民解放軍の制服組トップで中央軍事委員会の張又侠副主席と同委員の劉振立参謀長を規律違反で粛清したことについて、松下氏は、「台湾軍事侵攻慎重派を排除し、台湾侵攻に反対する人がいなくなった」ことで台湾有事のリスクが高まったとの見方を示した。

台湾有事を巡っては、高市早苗首相が昨年11月に国会で、自衛隊が集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」に「なり得る」と発言した。

松下氏は、「中国がこれに発狂したおかげで国民の外交・安全保障に対する国民の関心が高まった」と述べ、憲法改正の機運が高まったことを歓迎した。

また、自らの体験を基に「中国を刺激しないという発想は禁物で、言葉の脅しにひるまず、毅然とした態度・覚悟を示すこと」が中国に対する心得になると訴えた。


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