李登輝氏の地方議員訪台団への講演記録(7)

1月24日〜27日に日本李登輝友の会地方議員訪台団が実施され、25日には李登輝氏の講演を聞いている。本稿はその筆記で、ブログ「武蔵村山市議会議員 あまめいし要一郎の活動報告」からの転載だ。

ブログでは写真も。 http://blogs.yahoo.co.jp/amame1968      


誰ですかオバマ?

アメリカの総統。黒人。そうでしょ。真っ黒な顔してる。

オバマ、訪日して天皇陛下に会われた。その時オバマは腰を90度折ってお辞儀しました。見ました?ご存知?これ、気をつけなきゃいけないんだよ。黒人だよ。そして、アメリカの象徴だよ。かつてアメリカの総統で天皇陛下とあって90度のお辞儀した人がいます?

オバマ、中国人であの中国の主席と会った時に、90度のお辞儀をしました?してないでしょ。ね。つまり彼から見るとね、オバマというのは・・・・・。

黒人がアメリカにやってきたのはいつごろですか?

植民地時代、だから、もう、500年ぐらいあるよ。そうでしょ?500年ぐらいあるでしょ?植民地時代から、そういう、その黒人がもはや、この500年苦労した。あの、ドクターキングが殺されれたのはいつですか?

ご存知? 覚えてる?

40年前かな。そうでしょ。

「私には夢がある」ということを謳ってね、黒人が政治的に何とかしなきゃいけない。自分の人命の問題を解決しなきゃならない。黒人は、南北戦争が終わってもね。実際はそんなに変わっていない。それが、日本に来て天皇陛下と会われた時、オバマ総統は腰を90度折ってお辞儀をしていました。

何が良いのか。

しかし、中国で国家主席と会った時は90度腰を折る、お辞儀をしなかったのは何故か?日本人はよく考えるべきでしょう。

それはね、天皇陛下によって代表される日本文化に最敬礼をしたんだよ!

日本人の持つ精神的なものを最敬礼をしたんだよ!

黒人として何百年間もアメリカでいじめられて、奴隷になって、苦しい目にあって苦しんで、やっとこさ、500年後に始めて黒人が総統にならなければアメリカはもう、物事を処理出来ない状態に入ってきているんだよ。そういうような総統が日本に来て天皇陛下に90度頭を下げる。

アメリカは中国が急速に経済発展し中国大国化という事を認識し、中国との関係を円滑化したいと思っているでしょう。しかし、オバマ大統領が天皇陛下にお辞儀をしたのは日本に対する政治的意図というよりは尊重だったにちがいありません。尊重の中には日本の歴史や文化も含まれているのは疑いも無い所でしょう。

日本人でこの事を理解している人は、どれほどいるでしょうか?

あんたがた、テレビで話しますか?

しなさいよ。李登輝がこういうことを言ったよ。言って構わないよ。

非常に大事な事だ。日本人忘れちゃいけないんだ。それだけ尊重されているんだよ。日本人はそれだけ尊重されているんだよ。戦後、戦争に負けたから自慰ばかり強くするな。もう自慰をなくして、きちっと自分達の尊厳をはっきりして、どんどん、やっていくべきだよ。

日中関係に関しても、経済的関係が進む事事態、私は悪い事だと思いません。しかし、中国における日本の知的財産権侵害などの新たなるあきらかな違法行為に対しては、自信を持って明確な意思表示をすべきだ。

日本人は今ね、あまり中国に投資に行きたくない。だったら、台湾人の投資なら安心できるだろう。というのはね。こういうような知的財産侵害がどんどん行われている。これはどうにもならないんだ。はっきりと言い切らないんだ。

日本人の自信と誇りを取り戻さなくてはいけません。国家危機、緊急危急の存亡の幕末において坂本龍馬などのような若い日本人達が立ち上がり、明治維新を成し遂げました。私は、講演で、坂本龍馬をとりあげたのも、こうした日本の歴史と文化を誇りに思って、平成維新に立ち上がってもらいたいという願いを込めたからです。

平成維新。ね。ちょっとね。やらなきゃいけないことだ。

かつて戦前の教育は、実践躬行の精神が息づいていたと思います。それが敗戦後、全く忘れられていました。

安倍晋三首相は教育基本法の改正を行いましたが、私はこれに大賛成でした。教育は国家の百年の大計です。同時に自主憲法制定は日本に欠かす事の出来ない課題です。今回の衆議院の選挙、どこの選挙区で憲法修正をやろうと言った衆議員はおりますか?

おりませんよ。

忘れてしまったんだなあ。

アメリカ人が作った英語の憲法をね。これを日本語に直して使いなさいと言われて、そのまま貰ってね。その時はその時。今は今。ところが、2009年8月に行われた衆議員選挙の候補者で、自主憲法制定を主張した候補者がいたというような話を私は聞いておりません。日本人は歴史と文化をもう一度見直し、実践躬行の精神を取り戻してもらいたいと思います。

鳩山政権は、東アジア共同構想をしきりに唱え、提唱しているようです。しかし、リーマンショックに始まったアメリカの経済的混乱によって、ドルを国際機軸通貨としてブレトンウッズ体制の終焉を、ブレトンウッズというのはワシントンの脇にある小さな町ですね。そこで、いわゆるIMFとWTOという国際的な組織をここで初めて作ったんだよ。これをブレトンウッズ体制というのはそういうことだ。 その終焉を意味し、同時にアメリカ一極集中の時代の終わりを告げました。アメリカは中国との関係を良くしようとしていますが、中国はロシアとの関係の方が良好です。したがって、アメリカ一点集中の時代は終わり、2009年は、西太平洋の覇権争奪の時代が始まった年と思って見て良いでしょう。

西太平洋の覇権争奪戦とは何ですか?

マラッカ海峡から対馬海峡に至るこのシーレーン、そのシーレーンの主導権を誰が握るかという事だ!

その中心地に台湾があるんだよ。台湾はこのシーレーンの中心部にある。常にアメリカは其れを視野に軍事戦略を描いています。事実、アメリカの西太平洋における軍事力は、グアムに集中しつつあります。
 
こうした時期に東アジア共同体を提唱する意味が計りかねます。 鳩山首相は、率先して東アジア共同体を提唱し、主導権を握る事が出来ると考えているのでしょうか?あの中国が主導権を握るに違いないでしょう。中国は日本が東アジア共同体の主導権を握る事を許すはずがありません。

失礼ながら、鳩山首相の頭の中はどうなっているのだろうか?

失礼しますね。お国の首相を批判しまして。

西太平洋覇権争奪戦は、中国、ロシア、アメリカ3つと、中国とロシア、アメリカ二つの軸となって争うことになるでしょう。

今、日米政府がなすべきは、東アジア共同体ではないでしょう!

アメリカ政府と日米同盟の今後のあり方、日本は、自国に誇りを持ち毅然とした態度でしっかり話し合うべきです。 こうした西太平洋をめぐる情勢の中で、良好な日台関係は極めて重要である事は言うまでもありません。

李登輝プロファイル、1923年生まれ、旧制台北高等学校を経て京都帝国大学農学部に進学。在学中、学徒出陣により名古屋で終戦、帝国陸軍少尉を持って帰ってくる。終戦後台湾に帰る、台湾大学に編入し、アメリカ留学を経て、蒋経国の死後、その後継者として中華民国総統、国民党主席に就任し中華民国の民主化を推進し、2000年には国民党主席を辞め 国民党党籍を放棄して、普通の人間になりました。これが李登輝のプロファイル。

何か質問があったら言ってください。

(連載終わり)



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