李登輝元総統が董事長(理事長)だった李登輝基金会は現在、次女の李安[女尼]さんが董事長に就き、李元総統を記念するシンポジウムや音楽会などを開催している。亡くなられた翌2021年11月は「誠實自然」、2022年9月は「台日友好」をテーマに記念音楽会を台北国家音楽庁において催し、蔡英文総統はじめ各界要人などが臨席し、毎年、1,000人を超える人々が参加している。
今年も去る9月4日、台北国家音楽庁において李元総統の「実務外交」をテーマに「2023年李登輝紀念音楽会」を開催した。
今年は呉[金リ]燮・外交部長や王國材・交通部長、王美花・経済部長、顧立雄・国家安全会議秘書長など1,400人が出席し、李元総統が訪れたシンガポールやエスワティニ、インドネシア、タイ、米国のコーネル大学、パラグアイ、日本の7ヵ国に縁する歌を八角塔男声合唱団が歌い上げ、「『実務外交』という新たな思考で外交の苦境を乗り越えようとした李登輝元総統の取り組みを振り返った」という。
日本に縁する歌は「花は咲く」だった。ご存じのように、この曲は東日本大震災復興応援ソングで、東日本大震災から10年目の節目の年にあたった2021年、安倍晋三・元総理が60年ぶりにピアノで弾いた曲だ。
下記に、安倍元総理が2021年10月に開催されたジャパン・スピリットコンサート2021で弾いた映像と、Taiwan Today誌の『務実外交:2023年李登輝紀念音楽会』の記事をご紹介したい。
—————————————————————————————–呉外交部長が「李登輝紀念音楽会」に出席、李元総統が台湾外交で果たした功績に思いを馳せる【Taiwan Today:2023年9月6日】https://jp.taiwantoday.tw/news.php?post=241522&unit=149&utm_source=Taiwan+Today+JP+9&utm_medium=email&utm_content=%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9+textlink
外交部の呉[金リ]燮部長(外相)は4日夜、台北市内の国家音楽庁(=ナショナル・コンサートホール)で開かれた財団法人李登輝基金会が主催する『務実外交:2023年李登輝紀念音楽会』に出席した。務実外交とは日本語で「実務外交」と呼ばれるもの。外交関係の有無に関わらず、重要な国々と実質的な関係を構築するという李登輝元総統(1923〜2020年)が実践した外交政策のことだ。呉[金リ]燮部長は、他の省庁の首長や台湾に駐在する各国の外交官らと音楽に耳を傾け、李登輝元総統が台湾外交で果たした功績に思いを馳せた。
財団法人李登輝基金会は2021年より毎年のように「李登輝紀念音楽会」を開催し、李登輝元総統の生涯やその功績を振り返っている。李登輝元総統の生誕100年の節目の年に当たる今年、同基金会は李登輝元総統が実践した「実務外交」をテーマにした音楽会を企画。八角塔男声合唱団の心に訴える歌声、国史館が提供する貴重な映像、ニュースキャスターの陳雅琳さんの司会、それに台湾在住でパラグアイ出身のギターおよびハープ奏者Roberto Zayasさんが奏でる音楽などを通して、「実務外交」という新たな思考で外交の苦境を乗り越えようとした李登輝元総統の取り組みを振り返った。
音楽会の前半では、李登輝元総統が実際に訪れた国々の音楽、つまりシンガポール民謡の『Di Tanjung Katong』、エスワティニ出身の音楽家Bholojaの歌曲『Zero to Hero』、インドネシアの民謡『Cikala Le Pong Pong』、タイの民謡『Loy Krathong』、米コーネル大学の校歌『Far Above Cayuga’s Waters』、パラグアイの民謡『Recuerdo-de-Ypacarai』、日本の東日本大震災復興支援ソング『花は咲く』など7か国の音楽とともに、外遊・出国にまつわる当時の出来事が紹介された。後半では北京語、台湾語、客家語、先住民族言語、新住民(東南アジア)言語の楽曲を通して、台湾の多様なエスニックグループの美と「音楽で友と交わり、文化で外交をする」という姿勢が示された。
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