情報の発信や観光イベントのPRで協力することとなった。これで、日本と台湾の自治体
の提携は28例目となり、今年だけでも5例目となる。
三重県の鈴木英敬知事は台湾との交流に熱心で、今年の5月31日には今年で6回目となる
「日台観光サミット」を誘致し、三重県志摩市で開いている。
ちなみに、安倍晋三首相はこの日台観光サミットにビデオメッセージを寄せ「台湾は日
本の重要なパートナー」と表明している。実は、岸田文雄外務大臣が本年1月末、「台湾
は、我が国との間で緊密な経済関係と人的往来を有する重要なパートナー」と述べ、日本
の外務大臣として初めて台湾を「重要なパートナー」と踏み込んで表明していたが、総理
大臣が表明したのは恐らく安倍総理が初めてだ。
一方の新北市の朱立倫市長もまた、日本との交流に熱心だ。7月下旬に初めて訪台した黒
岩祐治・神奈川県知事と会談、その直後に行われた輔仁大学の学生との座談会で、日本は
台湾の最も重要な経済パートナーだと述べ、また第2外国語の選択について「自身の経験か
ら言えば日本語を推薦したいと提案」もしていた。そして10月に三重県と「観光交流協力
協定」を結んでいる。
その朱立倫市長が11月11日、市内で開催された日本企業を対象にした調達マッチング商
談会において、改めて「日本はすでに重要なパートナーとなっている」と述べたという。
朱立倫氏は中国国民党に所属し、1961年生まれの52歳。桃園県長や行政院副院長などを
歴任して新北市長に就き、2016年の総統選挙の有力候補者として取り沙汰されている。
日本と台湾の姉妹都市は、台湾側の首長が中国国民党であろうと民進党であろうと、あ
まり関係ない。新竹市と岡山市がそのいい例だ。岡山市が新竹市と友好交流都市を締結し
たのは2003(平成15)年だが、新竹市は中国国民党所属の市長だった。現在の市長も中国
国民党だが、岡山市との交流はますます深まっている。
今後とも日本に理解を示し、姉妹提携や修学旅行などの教育交流を望む新北市など、台
湾自治体への日本からの積極的なアプローチに期待したい。
なお、本会が12月5日から8日まで行った「役員・支部長訪台団」で、下記の記事に出て
くる佐味祐介・交流協会台北事務所副代表と意見交換している。佐味副代表は、個人的な
見解と断りつつ、2020年の東京オリンピックに台湾が中華台北(チャイニーズ・タイペイ)
ではなく、台湾の名称で参加することに賛意を表明している。後日、その詳細を報告したい。
朱立倫新北市長、「日本は重要パートナー」
【中央通信社:2013年12月11日】
http://japan.cna.com.tw/news/aeco/201312110005.aspx
(新北 11日 中央社)新北市の朱立倫市長(=写真左)は11日、同市にとって日本はす
でに重要なパートナーとなっていると述べ、双方の経済関係の緊密化を強調した。
同市ではこの日、日本企業を対象にした調達マッチング商談会が行われ、電気自動車の
運用やインテリジェント交通システム、都市・エネルギー管理、電子マネー、指紋認証技
術、各種無線通信システムなど幅広い分野に日本人バイヤーが関心を示し、全体的なビジ
ネス効果は20億台湾元(約70億円)に上ると見込まれている。
朱市長は開幕式で新北市は多くの産業が集まる台湾最大の都市だとアピールするととも
に、日本企業との提携を通じて技術・商品調達・投資分野で互いの協力を強化し、より多
くのビジネスチャンスと雇用機会の創出につなげたいとの考えを示した。
一方、開幕式に出席した日本の対台湾窓口機関・交流協会台北事務所の佐味祐介副代表
(右1)は提携の背景について、日本が経済面で国際協力拡大をめざしていることや、各国
との経済連携協定締結における台湾の前向きな姿勢があると説明した。
朱市長によると昨年、対台湾投資を行った日本企業は600社以上で、今年も新北市・林口
に建設される北台湾最大のアウトレットモールBOT案の落札メーカー、三井不動産を含め、
現時点ですでに500社を上回っており、双方の経済交流の緊密さがうかがえる。
(王鴻国/編集:荘麗玲)