で、4月12日にお召艦「金剛」で出発して16日に台湾に着かれ、台湾各地を訪問後、基隆から4月27
日に出港、日本に帰られたのは5月1日のことだ。台湾だけで11泊12日という長旅だった。
このときの4月21日、台南の台湾歩兵第二連隊を訪れ、ガジュマル(榕樹)の木をお手植えされ
ている。以来91年、台湾歩兵第二連隊の跡地は国立成功大学に姿を変えたが、ガジュマルは台湾の
人々の下ですくすく育ち、今では大きく枝を広げ威容を誇り、市民の憩いの場になっている。
成功大学では、このガジュマルの前にプレートを設置して由来を記している。日台の絆を象徴す
るガジュマルだ。中央通信社がその写真とともにエピソードを紹介している(下記)。
このガジュマルで思い出すのは「台湾の三島由紀夫」と言われる鄭南榕だ。南榕すなわち「南の
ガジュマル」こと鄭南榕は、戒厳令下の台湾において、公開の場で初めて台湾の独立建国を叫び、
2・28事件の真相究明を求め、遂には一死をもって国民党の圧政に抗し、台湾に民主・自由の道を
拓いた。
本誌でも傳田晴久氏が伝えていたように、鄭南榕が学んだ成功大学では、学生が投票で選んだ
「南榕広場」という名称を大学側が約束を反故にした事件があったが、「成功大学がやらないな
ら、台南市で」という運動が広まり、台南市の頼清徳市長は、台南市庁舎の前の「東哲街」と「西
科街」を「南榕大道」と改名した。今年の4月3日のことだった。
台南を訪れたら成功大学キャンパスにそびえる昭和天皇お手植えのガジュマルと南榕大道に足を
運び、日台の絆と台湾民主化に思いを馳せたい。
“昭和天皇のガジュマル” 市民らの憩いの場に/台湾・台南
【中央通信社:2014年9月5日】
http://japan.cna.com.tw/news/atra/201409050007.aspx
(台南 5日 中央社)国立成功大学・光復キャンパス(台南市)の中には、ひときわ目を引く大
きなガジュマルの老木がある。この木は1923(大正12)年に、当時皇太子だった昭和天皇が植えた
とされており、現在では市民らの憩いの場になっている。
このガジュマルの老木は、1995年に生命保険大手の「国泰人寿」の商標に選ばれ、「下に向かっ
てしっかり根を張り、上に向かって成長する」という“大樹の経営哲学”とともに、台湾全土のメ
ディアに登場してすっかり有名になった。
それ以来、20年近く経った今でもこの木を訪れる人は絶えることがなく、木の周りの緑地は大学
の屋外イベント会場として利用されているほか、散歩などを楽しむ人たちでいつもにぎわってい
る。また、結婚記念写真の背景としても人気が高く、一生の思い出を残そうと撮影をしている姿が
よく見られる。
このガジュマルの老木は、傘のように張り出したその大きな枝と葉で、夏には照りつける日差し
から、冬には吹きつける風から守ってくれる、いつでも大きな安心感を与えてくれる木として人々
から親しまれている。
(張栄祥/編集:杉野浩司)