日本・台湾安保経済研究会が許世楷代表を講師に特別勉強会

台湾の民主化・自由化を支持する画期的な「決議」を採択

 昨11月24日、民主党の国会議員で構成する「日本・台湾安保経済研究会」(中
津川博郷会長)が衆議院議員会館内において、講師に許世楷駐日代表(大使に相
当)を招いて特別勉強会を開いた。
 この勉強会は去る5月18日に「日本・台湾安保経済研究会」が発足して以来初
めての会合で、すでに加盟議員は衆参合わせて50名ほどになっている。この特別
勉強会には未加盟の議員も参加し、ほとんどが加盟したようだ。
 本会からは伊藤哲夫・常務理事(日本政策研究センター所長)と柚原正敬・事
務局長が招かれ、また、産経新聞や台湾の自由時報や中央通信社などの特派員も
取材した。
 勉強会は事務局長の大江康弘・参議院議員が司会進行役をつとめ、冒頭、中津
川会長が、日本と台湾がお互い海洋国家として深いつながりがあることを述べ、
「台湾のことは台湾の国民が決めることであり、今後、新たに憲法や国名なども
決めようという動きになってきているが、私たちは台湾がそうするなら支援し支
持したい。李登輝前総統の『奥の細道』を訪ねたいとする希望も実現したい。そ
のために、研究会のメンバーで一緒に台湾へ行くことや駐日代表処へも訪ねてみ
たい」と挨拶。
 その後、許世楷代表の講演となったが、講演が終わった後、幹事長の長島昭久
・衆院議員の説明により、出席議員の満場一致で採択された画期的な「決議」の
内容について先に報告したい。この「決議」は、現在、李登輝前総統を先導者と
して台湾で進められている民主化と自由化を目指した新しい国造りを全面的に支
持する内容で、これは台湾の人々にとって何よりの励みになるのではないだろう
か。また、日本の国会議員の良識を示す「決議」でもあり、以下にその全文をご
紹介したい。


 本日、日本・台湾安保経済研究会は、台湾の民主化・自由化を支持し、その更
なる発展に貢献すべく、以下決議する。

 一、台湾の憲法、国名については台湾の民意を尊重し支持する
 一、台湾のWHOへの加盟を支持する
 一、李登輝前台湾総統の訪日を実現する
 一、台湾観光客のノービザ入国を実現する
 一、在留台湾人国籍の「台湾」への表記変更を実現する
       
                      平成十六年十一月二十四日
                      日本・台湾安保経済研究会


 日中共同声明を発表し、日華断交したいわゆる「72年体制」からの脱却を訴え
た許世楷代表の講演内容についは、昨日発行のメールマガジン「台湾の声」がそ
の詳細を掲載しているので、転載して紹介したい。


 日本の国会議員連盟、台湾新憲法制定支持を決議
 【メールマガジン「台湾の声」 11月24日】

 許代表の講演では現在の日台関係は72年体制というべきもので、国際的な状況
も、現在は主たる脅威の来源が変わっている。台湾でも国民党一党独裁から、民
主化、政権交代を経て日本と共通の価値観を持つにいたっており、今、日台関係
に見直しが必要であると訴えた。
 また現在、台湾の大学で、日本語学科が無い大学が珍しいというような、親日
的な状況を作り出した李登輝前大統領が、日本からビザさえもらえないという問
題を指摘した。
 質疑応答では、中国原潜領海侵犯問題など、日本と台湾が安保対話を行う可能
性について台湾側の受け入れ状況についての質問があった。
 許代表は、台湾側は大切なことと認識し「ずっと対話を望んでいる」とした。
今回の中国原潜の件で、台湾から日本政府に通報を行ったが、日本側が中国に配
慮してこの事実を認めにくいという現状を挙げ、日本側の態勢が整っていないと
指摘した。
 また。対中ODAの問題について、台湾からすれば、台湾に向けられた600
基のミサイルは日本のODAから来ているのではないかと疑問を持っている。国
際社会では中国が台湾にミサイルを向けていることを理由として武器禁輸措置が
継続されている。今回の原潜もODAで出来ているという見方もありうるのでは
?と、ODA支援行うべきではないという考えに十分な理由があるという見方を
示した。
 また靖国問題について、アメリカはA級戦犯の合祀を問題視していないという
例を挙げ、中国が、執拗に抗議を繰り返して外交問題化し、外交カードに仕立て
ていると指摘した。
 尖閣問題については、「見方がさまざまある」と、あまり踏み込むことは出来
なかった。これは、本国政府がこれまでの立場を継承しているために、立場上や
むをえないのだろう。国際社会での認知を浸透させるためには台湾自身が変わる
ことが必要だ。それでも、中国側は日本に話し合いもせず開発を進めているが、
台湾は武力に訴えるとは言っていないと対照してみせた。
 講演と質疑応答から、原潜問題にせよ、日本は「外交問題」化を避ける方向で
解決しようとして、国益のために交渉を行うということをしていないという問題
が明らかになった。
 代表処関係者によると許代表は着任後、国会議員のグループを前に、すでに3
回ほど講演を行い、台湾支持を訴えている。

『台湾の声』http://www.emaga.com/info/3407.html
『日本之声』http://groups.yahoo.com/group/nihonnokoe Big5漢文



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