10月7日、台湾の地球観測衛星「福衛8号」(フォルモサット8号)初号機を米国へ向けて輸送する出発式が新竹市の国家宇宙センター(国家太空中心、TASA)で行われた。
フォルモサット8号はフォルモサット7号の後継機で、フォルモサット7号は2019年6月25日に米フロリダ州のケネディ宇宙センターからスペースX社のロケットで打ち上げに成功している。
フォルモサット8号は、台湾が独自に設計・開発した重要部品が8割を超えるとされる。
出発式で頼清徳・総統は『看見台灣(邦題:天空からの招待状)』を撮った映画監督のチー・ポーリン(斉柏林)氏の名前から「チー・ポーリン衛星」と命名し、今年11月に米国の基地からスペースX社のロケットで打ち上げられる予定だという。
台湾は現在、ロケット開発に力を入れており2019年から2028年までの10カ年計画「太空科技長程発展計画」を進め、人工衛星10機を自主開発し、航空宇宙産業における台湾のナショナルチームを作り上げることを目指しているという。
なお、日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)と台湾の国家宇宙センター(TASA)は本年3月24日、宇宙技術、環境利用、科学、教育、産業その他の潜在的な分野における将来の協力に関する「二国間協力覚書」を結んでいる。
国産人工衛星システム「フォルモサット8号」初号機、10/7米に出発【台湾国際放送:2025年10月7日】https://www.rti.org.tw/jp/news?uid=3&pid=168615
台湾が独自に開発した人工衛星システム「福爾摩沙衛星八號(フォルモサット8号)」に含まれる第1号機(FS-8A)が7日、北部・新竹にある国家宇宙センター(Taiwan Space Agency、TASA)から出発し、アメリカへ輸送されます。
頼清徳・総統は出発式に出席し、この衛星を「チー・ポーリン衛星」と命名したと発表しました。
頼・総統は、亡き映画監督、斉柏林(チー・ポーリン)氏のように、この衛星が宇宙から台湾を見守り、世界に台湾を伝える存在になってほしいと期待を寄せました。
チー監督は生前、空撮映像を通じて台湾の山林の変化や人々の暮らしを記録し、その作品『看見台灣(邦題:天空からの招待状)』で社会に環境への関心を喚起しました。
「フォルモサット8号」は、台湾初の国産人工衛星群で、8基の光学リモートセンシング衛星で構成されています。
第1号機(FS-8A)は、今年の第4四半期に打ち上げられる予定です。
7日の出発式には、頼・総統のほか、国家科学及び技術委員会の呉誠文・主任委員、国家宇宙センターの呉宗信・主任、そしてチー・ポーリン監督の遺族も出席しました。
頼・総統はまた、この「チー・ポーリン衛星」には台湾が独自に設計・開発した重要部品が多数搭載されており、自主開発比率は8割を超え、今後さらに自製比率を高めていけると自信を示しました。
それによって台湾の大規模な研究開発の力を国際宇宙市場に示すとともに、情報通信技術(ICT)、電機、精密製造などの強みを生かし、国内の産学連携による技術力向上と「メイド・イン・台湾」の宇宙産業サプライチェーンの構築につなげていく考えを示しました。
頼・総統はさらに、「チー・ポーリン衛星」は今後打ち上げられる衛星とともに、地球観測ネットワークを形成し、取得したデータは国土計画、農業のモリタニング、災害対策、環境保護などに広く活用されると述べました。
これにより国民生活の向上と国家の強靭性強化に貢献し、気候変動や地政学的リスクへの対応にも資すると強調しました。
(編集:王淑卿/呂学臨/本村大資)。
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