昨年春、中国は虫がついているという理由で台湾のパイナップルを輸入禁止にし、日本では台湾が中国にいじめられて困っているなら助けたいという人々がこぞって台湾のパイナップルを購入した。
東京大学社会科学研究所教授だという丸川知雄氏が2021年8月24日付の「Newsweek日本版」に「台湾産パイナップル、来年も買いますか?」を寄稿、「台湾が可愛いから『あばたもえくぼ』に見え、コナカイガラムシも粉砂糖に見えるらしい」「日本は、害虫がついていたパイナップルを台湾側の宣伝に体よく踊らされて大量に買ったお人好しだった、ということになる」と日本人を愚弄するように書き、最後に「筆者自身は台湾産パイナップルの半値で買えるフィリピン産パイナップルが十分すぎるほどおいしいと思うので台湾産を試すことはなかったが、もしフィリピン産の2倍おいしいというのであれば次の機会に買ってみたい」と捨て台詞を書き連ねた。
昨年の本誌9月5日号で、この丸川氏の論考を取り上げ「義捐金を送るような思いで台湾産パイナップルを買った日本人が『体よく踊らされて大量に買ったお人好し』と非難されなければならない理由はない。それも、上から目線で日本人が愚弄され腐される謂われはない」と、日本人の心情に水を差す丸川論考への違和感を表明した。
丸川氏は「台湾産パイナップル、来年も買いますか?」と問うた。その結果が出た。日本人は昨年以上に台湾産パイナップルを買ったのだ。今年の対日輸出量は1万8179トンで、昨年の1万6672トンを上回ったと農業委員会の陳吉仲主任委員が明らかにした。
さてさて、この結果について「台湾側の宣伝に体よく踊らされて大量に買ったお人好し」と日本人を腐した丸川知雄・東大教授はどう受け止めているのだろうか。
—————————————————————————————–台湾産パイン、対日輸出が増加 市場の好みに合わせた形での輸出狙う【中央通信社:2022年7月6日】https://japan.focustaiwan.tw/politics/202207060011
(台北中央社)行政院(内閣)農業委員会の陳吉仲(ちんきちちゅう)主任委員(閣僚)は6日、今年のパイナップルの対日輸出量が1万8179トンに達し、昨年より増加したと明らかにした。今後は産地でのカット加工を強化し、日本の市場のニーズに合わせた形での輸出を進めていきたい考えを示した。
今年の輸出量は2万842トン。日本向けが全体の約87%を占める。農業委員会の統計によれば、昨年1〜6月の対日輸出量は1万6672トンだった。
陳氏はこの日、優れたレジャー農業区を表彰する式典に出席した際、報道陣の取材に応じた。
陳氏は、日本の消費者はパイナップルを1個丸ごと購入するのではなく、カットされたものを購入したがる傾向にあるほか、台湾内でも大手スーパーがカット済みのパイナップルの販売を開始するなど、カット加工は市場のニーズにマッチしていると強調。将来的にはカット加工品を低温または冷凍輸送の形で輸出したいと語った。
農業委員会国際処によれば、今年の輸出目標は3万トン。日本以外の市場への輸出は新型コロナウイルスなどの影響で減少している。中でもシンガポール向けは前年に比べ9割近く減った。この原因について陳氏は、昨年はコールドチェーン(低温流通体系)が徹底されておらず、芯の部分が黒くなる現象が生じたためだと指摘。現在は等級別の包装やくん蒸による殺虫処理など全ての過程で質を高めていると説明した。
(楊淑閔/編集:名切千絵)
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