日本の高校生の海外修学旅行先として、相変わらず台湾が断トツの人気を誇っています。
文部科学省が1986年(昭和61年)から2年ごとに発表している「高等学校等における国際交流等の状況について」によれば、台湾への修学旅行は2017年度にそれまでトップだった米国を抜いて1位となり、本年8月に発表した2019年度版でも、2位の米国(2万5,285人、225校)を大きく引き離して4万6,895人、293校とトップを維持しています。
約20年前の2004年度の台湾へは1,108人、16校で、14位で、1位だったオーストラリアの3万3,970人、235校に大きく水を開けられていたことを思えば、まさに隔世の感を覚えます。
台湾への修学旅行が増えたのは2013年度からでした。初めて2万人を超え(2万829人、140校)、1位の米国(3万5,168人、260校)、2位のシンガポール(2万3,571人、167校)に続きました。
なぜ急増したのかと言えば、東日本大震災に対する台湾の253億円にものぼる寄付やこまめな支援が高校生や親御さんたちの共感を得たからだったようです。加えて、台湾は「安近短」、つまり費用が安く、距離が近く、日程が短くてすみ、また、治安がよいことも親御さんたちを安心させたからでした。さらに、台湾は世界で唯一、日本と50年の歴史を共有し、かつての総督府の建物を総統府として使っているなど、古き良き日本の姿を残していたことも学校側の教育的な面から共感を呼んだようです。
一方、台湾の高校生たちの「教育旅行」先として、日本は2011年度から韓国と中国を抜いてトップとなっています。2017年度の文科省の調査でも、台湾からは1万3,392人、401校と、2位の中国(5,774人、237校)、3位の韓国(3,785人、150校)を大きく引き離していた。2019年度の調査でもそれを維持していました。
ちなみに、日本の高校生総数は316万8,369人、高校数は4,887校(2019年)。2019年度海外修学旅行実施の高校生は16万3,394人(1,257校)。台湾の高校生総数は74万5,669人、高校数は513校(2019年)。
このように、日本も台湾も、高校生の修学旅行(教育旅行)先は双方ともにトップで、この状況はここ10年変わっていません。
日本の高校生の修学旅行先で台湾が1位に躍り出てから10年を迎えた本年、コロナが収束したことで日台間の交流がコロナ前に戻りつつあります。
2016年度に台湾からこれまででもっとも多い延べ1,4155人が訪れたという宮崎県は10月18日から21日、台湾からの教育旅行の誘致を図ろうと、台湾の高校の校長など6人を招いて県内教育旅行のプログラムを体感してもらう視察旅行を企画しています。また福岡県も、10月17日から20日まで台湾の高校の校長など8人を招き、柳川市で名物の川下りを体験したり、柳川高校を視察して、学校の特色や文化やスポーツでの交流、語学交流などができることなどの説明を受けたそうです。
さらに、10月17日にはJNTO(日本政府観光局)が主催する「日台教育旅行関係者意見交換会」が東京都内で開催され、伊与田美歴・JNTO理事、竹内秀一・(公財)日本修学旅行協会本部理事長、角谷里香・文部科学省総合教育政策局国際教育課国際理解教育専門官、日本台湾交流協会の花井郁子・総務部長、鄭憶萍・台湾観光協会東京事務所所長なども出席し、日本側80名、台湾側75名の教育旅行者が参加し、学校や地域での日台間の国際交流について活発に話し合いを行ったそうです。
いずれも、日台の修学旅行や教育旅行の関係者の意気込みを感じさせるニュースで、当分の間、修学旅行や教育旅行で双方のトップの座は揺るぎそうにないようです。
◆教育旅行誘致へ 台湾の関係者が高千穂町など視察 【宮崎ニュースUMK:2023年10月18日】 動画:https://www.umk.co.jp/news/?date=20231018&id=20810
◆台湾の学校関係者が柳川の川下り体験 海外からの教育旅行PR 【NHK福岡 NEWS WEB:2023年10月20日】 動画:https://www3.nhk.or.jp/fukuoka-news/20231020/5010022216.html
◆花井総務部長が「日台教育旅行関係者意見交換会」に出席 【日本台湾交流協会:2023年10月19日】 https://www.koryu.or.jp/news/?itemid=3561&dispmid=5287
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